「責めるべくは弱さではなく、環境」子宮に沈める rainさんの映画レビュー(感想・評価)
責めるべくは弱さではなく、環境
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子を育てるということは、決して一人ではできないということを痛感させられた映画でした。
母親の無責任さ、薄情さ、愚かさを責めるなんて、誰でもできるし、誰でも思うことだと思います。でもそうすることが、根本にある問題の解決に繋がるのか。繋がるわけないんです。
例えばこの映画が長女を殺したシーンで終わっていたとしたら、そりゃもう母親への憎しみしか考えられないと思います。でもラスト、2人にマフラーを巻いてあげる場面のおかげで、私たちは彼女が目指した家族像を再度考え直すことができるんです。母親は2人に真っ赤なマフラーを巻きながら、レジャーシートをひいてピクニックすることを夢見てたんですよね。でもそれは叶わなかった。それは、彼女の弱さももちろん原因の一つですが、手を差し伸べられなかった周りの人のせいでもあるんです。
誰しも完璧な親にはなれない。そんな中で、私たちが当事者なら、もしくは目撃者なら、どんな行動を取るべきなのか、考え直すきっかけになったという点で、とても意味のある映画だったと思います。
ただ、やはり今の日本は近所付き合いが希薄であったり、行政がなかなか踏み込んだ支援をできないという現状があるので、なかなか難しいなとも思ったり。とにかく「母親」を孤独にしないことが、私たちにできる最善策だと思います。。
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