クスクス粒の秘密のレビュー・感想・評価
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前代未聞の歯切れの悪さ
喉の下らへんの渦が消えない。何だこの歯切れの悪さは。
「あー」とか「うー」とか雄叫びをあげてみたり、これでもかと言うほど伸びをしてみても、その渦が消えない。何なんだこの歯切れの悪さは。
クスクス粒が行方不明になってから、じれったさがひしひしと溜まっていく。あっという間に、レストランのスタッフ側の気持ちが私に乗り移ってくる。それはお客様第一主義の日本人なら特に感じてしまうじれったさという名のストレスだ。
そして、そう言うどんよりした最悪な状況を、晴れ晴れしい成功が、結果オーライと言わせてくれるのだろうというこちらの勝手な想定を、なんとも惨たらしく裏切ってくるのだ。それは、白黒のはっきりしない曖昧さによってだった。
そして同時に、私がどれ程までに、曖昧さに対する許容範囲が狭いかを知らされた気分だ。
これ程までに心地の悪い曖昧さがあるものか。
もし監督に出会ったとしたら、やってくれたね〜、って言いながら、肩を撫でたい。彼が倒れそうになるくらい少し強めの力を込めて。
クスクスが食べたくなる
料理が映画向けな感じになっていない、リアルな感じが個人的にはとても好印象でした。よくお祖母ちゃんが作ってくれたクスクスにそっくり。
カメラワークを素人的だと思う方もいるようですが、自分が実際にその場にいるように感じられて、これもまたリアルだと思いました。
出店のために色々な場所をたらい回しにされるシーン、キッチンの衛生の話で「フランスでは」と何度も強調するところに、この人物は「移民とその祖国の水準はフランスよりも低い」と思っているんだなと感じ、やるせなく思いました。
ロシア人のお嫁さんの、悲痛な訴えには、思わず涙が出ました。
曖昧で、少し悲しいエンディングでした。レストランは、開かれなかったのだろうと思います。
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