劇場公開日 2013年10月19日

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「すべては欲のために・・・」殺人漫画 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0すべては欲のために・・・

2021年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 『聖女 Mad Sister』(2018)ではそれほど魅力的だと思わなかったけど、この作品のイ・シヨンはすごくキレイ。夢と現実の境界線がわからなくなる“アリス症候群”と診断されている売れっ子漫画家カン・ジユン。そんな彼女の描く漫画によって編集長が変死を遂げたのだ。

 死体の姿も漫画と一緒、しかも刑事たちの捜査によって編集長の自殺原因と思われる過去の出来事も見事に符合していたのだ。本人しか知らない事実・・・母親が事故か何かでケロイド状の顔となり、自殺を幇助した経緯。もうここだけでも恐怖映像満載。どうしてこんなにリアルな漫画が描けるのか、しかも事前に・・・といった内容。

 自殺として処理すれば簡単に済むはずだったが、ジユンをずっと疑っていた刑事たち。彼らも功績を上げて昇進したいという欲望があったためだ。そして第二の事件。さすがに自分でも死の連鎖を止めたくなったジユンも現場に向かう・・・葬儀社社長のチョ・ソンギを助けなければ。

 やがて若手のキム刑事の過去のエピソードに切り替わり、怨霊の仕業という負の連鎖が始まるサスペンスと変わる。単なるホラーではなかった。人間の欲望と、成功しそうなら周囲の人間でも踏み台にしたしまう醜いサガ。誰しもが持つ罪悪感も平穏をぶち壊す。そんな心の闇をも見せてくれる上質ホラーといった感じ。二転三転する終盤には思わず唸らされてしまうほどで、怨霊を手段とした社会派ホラーともとれるのです。もう少しイ・シヨン作品を追っかけてみたくなった。

kossy