大統領の執事の涙のレビュー・感想・評価
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7人の大統領に仕えた黒人の執事の物語。今も世界中に残る人種差別(肌の色だけじゃない)を考えるきっかけになる作品。
初めての鑑賞
まったく予備知識なく、タイトルだけで録画した
想像していた内容と違っていたが
すぐに物語に引き込まれた
農場で(奴隷のように)働く両親のもとに生まれた主人公のセシル
ある日、雇い主に母親がレイプされ、父親が殺されてしまう
雇い主の母親に給仕係として拾われたセシルだが
やがて、農場を抜け出す
盗みに入った商店で黒人の使用人に拾われた主人公は給仕係の仕事を覚え
やがて、ホワイトハウスで大統領の執事として雇われる
という物語
黒人でありながら、ホワイトハウスで執事に採用された主人公は
一見、肌の色の差別を超えたように見える
しかし、そんな簡単な話ではない
家族は常に肌の色の差別にさらされ
長男は公認権運動に参加するようになる
しかし、認識の違いから
家族の関係が悪化してしまい
長男は孤立してしまう
執事として最初に仕えたアイゼンハワー政権時
選挙戦を控えた共和党の候補・ニクソンが
「黒人の待遇改善を考える」と約束するが実現せず
後に就任し、黒人差別撤廃を呼びかける民主党のケネディは暗殺されてしまう
7人目のレーガン政権時に辞職したセシルは
息子のことを誤解していたことに気く
一緒にデモに参加し、和解するセシル
数年後
ついに黒人の大統領候補・オバマが現れる
妻と一緒に投票に行こうと準備するセシルだが・・・
この映画は肌の色の違いだけではなく
家族のかかわりを同時に考えさせらせる
いろんな差別が存在する
主人公のセシルの人生が、子どもの頃から白人による差別のそばにあり、それでも大統領の執事として、働き続けたことがすごいと思った。蔑まれようと白人より賃金が半分だろうとそこで働いている限り家族は路頭に迷うことはない。でも、我が子は思い通りにはならない。幾度となく黒人として嫌な目にあい、民権運動で拘留され、それでも戦い続けた息子も偉いと思う。歴代の大統領が出てきて、実際のニュースなんだろうなぁと思う映像が流れて、本当の歴史なんだと思った。どうしてここまで白人が黒人に対して差別をするのか分からないが、現在はなくなっていればいいなと思う。
オバマさんが大統領になったときは、みんなが泣いて喜んでいて、こっちまでホッとした。これ以上つらいことが起きないように祈りながら見てしまった。
教科書やニュースで知ってはいたハズだけど・・・ こんなにも近年まで...
教科書やニュースで知ってはいたハズだけど・・・
こんなにも近年まで(いや、今もだよね)強く激しい差別が続いていることに
改めて気付かされた。
「息子は犯罪者ではなく、アメリカの良心のために闘ったヒーローだった。」
それに気付き、長男と和解したシーンは胸が熱くなった。
奴隷から自分達で権利を勝ち取り、大統領まで出した黒人の勇姿
自分の無知さを思い知り、恥ずかしくなりました。
もちろん事実としては知っていたことですが、改めて黒人の方の視点にしてみると想像以上に辛いものです。
今では大方当たり前になっている人種差別撤廃の考え方も、本当に少し前までは当たり前ではなかったんだということがよくわかる作品でした。
とにかく、主演のフォレスト・ウィテカーさんと妻グロリア役のオペラ・ウィンフリーさんが良かった。
もちろん夫婦間の愛みたいなものも良かったのですが、子供が小さい頃から最後に老いていくまで同じ人とは思えないほどでした。
主人公のセシルを中心に時代が動き、彼の身の回りもどんどん変化していく。
父親は大統領に支え、2つの顔を使い分ける一方、長男は何度逮捕されても自分達の権利のためには何度でも立ち上がる。
次男はアメリカの国のために戦う。
そしてそれを見守る母親。
同じ家族といえども立場が違うとこうも意見が変わってくる。
KKKのシーンは本当に怖かったです。
教科書では写真としてしか載っていませんが、映像(勿論実際のものではありませんが)で見ると本当の恐ろしさが見えてきました。
ケネディ大統領が理解を示した矢先、暗殺されてしまったシーンとオバマ大統領が見事当選を果たし、Yes,we canと言い、終わるラストが印象的です。
ラストは遂に報われ、バラクオバマという救世主が現れたかのようでした。
綿花畑で父親を目の前で撃たれたところからオバマ大統領の当選で締め括るという非常に物語性のある締め方だと思いました。
途中でかなり下ネタを挟むのですが、これがなかなか良いスパイスになっていました。
下ネタなんかを挟むと何気ない会話といった感じになりますね。
断片的なエピソード・・
物語はワシントン・ポスト紙に載った実際のホワイトハウスに34年務めた執事ユージン・アレンの記事に触発された脚本家ダニー・ストロングによって書かれたが話を劇的にするため、綿花畑での惨事や息子の戦死ほかフィクションが多く含まれる。奴隷もどきからオバマ大統領誕生までの主人公や黒人たちの苦難の歴史は感慨深いが執事の物語として観るとエピソードも少なく「日の名残り」の老執事と主人の関係ほどの深みが描かれていないのが残念に思えた。
考えてみれば職を辞したとはいえ執事の守秘義務、忠誠心は堅いのだから「家政婦は見た」のようなスキャンダラスな話が表に出てくるわけもなく家庭問題で尺を埋めざるを得なかったのだろう、タイトルに騙された気もする。
本題の人種差別について考えてみた。アメリカの人種差別の根はいわば白人至上主義だからインディアン狩りに始まり黒人奴隷、ヒスパニック系、アジア系移民まで広く及ぶのである。差別撤廃は人道主義的見地からと信じたいが政治家特有の計算も見え隠れする。産業構造の変化や人種構成も変わってきており能力評価主義に動いているがプア・ホワイト層の不満を扇動したトランプ政権の台頭により雲行きも怪しく見える。人種差別を扱った映画は多いがいまや新たな格差社会が台頭してきておりAIに仕事を奪われるといった話が実しやかに語られる時代になってしまった。映画で定番の近未来は悲観的なディストピアが多いがそこではどんな人間の黒歴史が上映されているのだろうか・・。
フォレストガンプの対にはなっているが対抗は出来ていない作品
気にはなっていたが視聴しそびれていた一作。町山智浩さんの評にてフォレストガンプへのアンチテーゼとして作られたと聞き、興味が湧いて鑑賞。
なるほどフォレストガンプが“見なかったこと”にしていた負の歴史を描いており、対になる一作だった。
しかし、人間性はよろしく無いが才能だけは抜群のロバートゼメキスのフォレストガンプと比べると描いている時間も舞台も似通っているのに何か物足りない。それは画の力だと思う。
この作品は基本的に主人公の家、ホワイトハウス、長男の目線という3つから構成されているのだが、あともう一つ必要なものがある。それは一般人の目線である。
ゼメキスはスタジアムの観客、抗議デモの観衆といった具合にその時代に生きていた当事者以外の人々を挟んでいるが、本作はそれが無い。そのためアメリカの負の歴史を描いているのに、とても規模が小さいように感じるのだ。戦争映画で司令室とその側近の家庭ばかりで肝心の戦闘シーンが無いというか。
例えば長男がセルマの行進に参加したり、ブラックパワー最中のナイトクラブといった、その歴史の中で流された群衆を入れていれば世界感を広げて描けたと思う。
また本作は50〜80年代のアメリカを生きたある黒人一家を通じて描かれるが、この一家にいる三人の黒人男性は、
・体制に従属した黒人=父
・体制に挑んだ黒人=長男
・体制に使い潰された黒人=次男
の3つの状態を表している。
ラスト体制に従属した者も挑んだ者も融和しオバマが生まれる、という流れだ。
しかし、この映画の肝というべき家族の誕生が描かれない。
1シーンづつでいい、嫁との出会い、長男の誕生を3〜5分でいいから入れるだけでこの物語の出発点を示すことが出来る。
が、それをしないが為に主人公にとっての嫁、子供といった家族の慈しみに乗れないのだ。家族を失った主人公が自分の家族を得る為に生きた軌跡を描くべきだった。
また次男の死が無駄になってしまっているとも感じた。父と長男が対の存在であるのならば、その融和は次男の死がキッカケになるべきではないかと思う。
次男が死んだ時点で父がホワイトハウスを、辞め息子と寄り添うという感じに。
フォレストガンプの対にはなっているが対抗は出来ていない作品だと感じた。
面白くはない
・無駄にキスシーンが多くて不快感を感じた
・ストーリー自体は史実に基づいていて
勉強になると思うが、
流れの中でどんなことを学びどう受け止め身につけ
それを行動に反映していったのかなどの
感情の動きなどに関しては演者の演技力任せで、
しっかり描かれているとは言えず、
あまり良かったとは思わない
・ほかのバトラーが、
どんな経緯でホワイトハウスで
雇われるようになったのかも見たかった
・日本と外国では恐らくデモ参加への意識が
また違うだろうからかもしれないが、
離職後にデモに参加し留置所に入ることに
かなりの違和感を感じた
・息子をはじめとする有色人種の行動によって
結果的に現代の法としては
差別の緩和・解消に繋がっただけの話で、
これを見て「気に入らないことがあったら
断固反対の姿勢で挑めばいいんだ!」となる人が
出てしまわないといいな、と思った
固い決意を持って田舎を出たかと思ったのに
窓ガラスを割って商品盗んで
謝罪もなしに仕事くれとか、驚いた。
まともな家族の中で
まともな教育を受けることができないから
そうなってしまうのもあるだろうし、
それが元で野蛮だから
近寄りたくない関わりたくないと
なったのもあるだろうし、
こうした負の連鎖は
現代でも起こりうることだな、と思った。
トランプ前・トランプ後
ざっくりとしか知らない、アフリカン・アメリカンの暗黒時代を、
大統領執事となった男の人生を通して、生々しく垣間見ることが
できました。
この執事ひとりの存在が、いかにこれまでのアメリカ大統領の
政策に影響を与えたか。やはり大統領とはいえ、人間だもの、
身近で従順に仕える人間に対して情を感じないわけにはいかない。
ラストは…
トランプ次期大統領確定後に初めてこの映画を観た自分的には、
ああ時代はめぐるのだな…という、軽い絶望感。
前だったら、希望に満ち溢れてキラキラ輝くエンディングシーンと
なっていたことでしょう…むう。
政治の黒人の扱いに間近で給仕した執事
オプラウィンフリーが一貫して家族の団欒を望む一心でイライラしたり喜んだり料理を頑張ったり踊ったりする描写が、一黒人が安心できる暮らしを守りたいだけの公民権運動の実情を表していてとても良かった。
黒人の優しさ温かみや黒人同士の寄り添い合うソウルがこの作品でも出てきて心地良い。
奴隷制から一連の公民権運動の時代を背景に、執事として生きた父セシルと、家庭を守りたい母グロリアと、声を挙げて闘った長男ルイスと、国のためにベトナムで戦死した次男チャーリー。一家は時代の波に乗って、それぞれの人生が翻弄されていく。
セシルが大統領の側で働いているために、歴代大統領の政治上の立ち位置と、それが反映される実際の国民の生活を代わる代わる見られて面白い。
生きるためにお店を壊し、盗みもままならず、白人の抱く黒人のイメージそのものだったセシルが、白人が黒人に抱くイメージを変えるまでに至る。相手が大統領でも堅くならずしっかり仕事をし、叩き込まれた相手ののぞみを察する事で1対1での信頼関係を時間をかけて築いて、望みを叶える近道にしているセシルを尊敬する。
いつの時代も公にはできなくても黒人に融和的な人はいたのかもしれないが、多くの黒人はセシルのように運に恵まれなかった。命を落としても主張が通るどころか主張する事すら許されず、親も失った子供時代があるから、白人とうまく渡り合う事で暮らしを得ているセシルには、ルイスの活動は命を軽視して若さに身を任せて粋がりながら正当性を訴える軽はずみに見えたかもしれないが、親子共願っていることは同じで、時間をかけて和解をできて良かった。
マライアキャリーがあっさり殺されて驚き。
思ってた感じじゃない
大統領の執事業務がメインかと思ってたけど、人民権運動を背景に黒人一家の人生のお話し。
邦題に詐欺られた感じ。
アメリカが抱える人種差別問題と運動の歴史をサラッと撫でる程度のストーリーで、特に感動的な話でもなかった。
ただ、主人公と奥さんが年を重ねていく演技やメイクはなかなかリアルだと思った。
あと、ずっと気になってしまったのが、セシルと言う名前。
綴りはCecilかな?
確かにカタカナ読みするとセシルだけど、明らかにシーセルorシーシルと呼ばれてます。
どうでも良いんだけど妙に気になった。
よかった
執事という仕事には全く関心がなかったのだが、興味深かった。特に有名になる仕事でもないような、一般的な仕事として大統領に仕えるとは、最大級の出世なのではないだろうか。
息子さんと意見が合わないからと言って冷たすぎる。もうちょっと優しくしてあげて欲しかった。若い時にできた子供にはそのような感じになりやすいのだろうか。
息子の彼女の無礼ぶりが面白かった。彼女も肩肘張って頑張っていたのだと思うのだが、最低限の礼節は保つべきである。
割と若い時期からフォレゥト・ウィティカーになっていて、どう見ても顔がおじさん、というかおじいさん、もうワンクッション挟んだ方がよかったのではないだろうか。
差別社会で生きた親子の葛藤
アメリカの歴史を黒人社会から見ることができる映画。子供時代に白人の下で、彼らの匙加減で、いつ殺されるかわからない中怯えながら奴隷として働かされ、ほんのわずかな幸運から、人生を掴み取り、大統領の執事にまで昇りつめる一人の黒人セシル。南部時代の恐怖を味わったセシルが、<白人に見せる顔>の仮面を武器として、平和的抵抗を選択することは当然のことだっただろう。また、白人に大人しく仕える父を見て疑問をもち、白人の黒人差別に強い反発心が心で育った息子のルイスがいる。彼がここまで自分の考えをもち、熱い思いを実行してこられたのも、父親が息子に教育を受けさせ、ある程度の生活を用意してやれたからだろう。父親と息子の中で、一方では内部からの平和的抵抗、一方では過激な命をかけた抵抗が、見事に対比され、描かれている。時代は下り、ついに大統領の地位を黒人が勝ち取るまでになる。親子は、やり方は違えどどちらも黒人社会を変える為に闘い続けてきた戦士なのであった。
映画としては、アメリカにおける黒人社会の変革というより、その中で生きてきた個人の生き方の描かれ方が素晴らしいのだと思う。
こんなに酷い扱いを受けていたのは、たったの半世紀前に過ぎないのだから、そりゃあ現代になっても差別意識は簡単には無くならないだろうなと思った。彼らは彼らの強さの為に、また美しさの為に、能力の為に、白人から恐れられ嫌悪され、一度は上になった立場から抜け出さない人間から差別され続けられるのだと、私は思っている。<いじめ>も構造は同じだろうに、呼び方の為にこどもの単なる愚行のように思える。立場が上であると勘違いし、<下の者>を虐げる人間は、いなくならないだろうが、子供の頃の教育によってある程度変えることは可能だろう。黒人社会を受容する形に変わってきた白人たちがいるように。
しかし本当に差別とは吐き気がする程恐ろしいものだと思う。白人黒人だけではなく、全世界にある差別。道路で平然とスピーカーを使用してヘイトスピーチをする日本。黒人が無抵抗で撃たれる現代のアメリカ。コーランを燃やす。或いは国旗も燃やす。今日本にいる日本人の私は、自国に存在している差別に辟易している。そして、日本人として謝りたい気持ちでいっぱいだ。
二つの顔を持て。本当の顔と白人に見せる顔だ
映画「大統領の執事の涙」(リー・ダニエルズ監督)から。
「7人の米国大統領に仕えた黒人執事の実話」という解説に、
どの大統領にどう関わってきたのか、楽しみにしていたが、
冒頭「実話に着想を得た物語」という字幕が見た時、
私の思惑とは違う作品かもしれないな、と感じた。
黒人がホワイトハウスに執事をするということは、
いろいろな制約や気を付けることがある。
「相手の心を読め」「察するんだ」
「二つの顔を持て。本当の顔と白人に見せる顔だ」
「この部屋の空気のごとき存在に」
「何かお力に?」「他に御用はありませんか」など・・
物語から拾った台詞は、数知れない。
しかし主題は「人種差別」だったかもしれない。
スポーツで「人種差別撤廃」を訴えた映画「42世界を変えた男」、
政治家という立場で「奴隷解放」を訴えた映画「リンカーン」
そして、ホワイトハウスの仕事をしながら訴え続けた本作。
この話題って、アメリカ映画には欠かせない分野かもしれない。
歴代大統領との絡みあまり無し??
うーーん。思ってたのとは印象違ったかもしれませんが、素敵な作品だと思いました。
最初のインパクトはすごかったです。あんな扱いを受けている、人種差別という惨さを知りました。
その後の展開は、執事として働く黒人の波乱万丈な生活を淡々と綴っていくってかんじ。インパクトは少なめですね。
歴代大統領が7人でますが、あまり絡みというか、、主人公への影響がなかった気がします。それは実話に基づくお話であるがゆえかもしれませんが。
あとオバマ大統領の凄さを知れました。日本人はその事実をあまり知らない。それを教えてくれた作品でした。
おもろん。
おもしろいっす。
この映画をかなり無理矢理単純に説明するとしたら、「それでも夜は明ける」と「フォレスト・ガンプ」を足して、終盤の老夫婦描写は「アンドリューNDR114」といった感じか。
この映画の素晴らしさはフォレスト・ウィテカーです。特におじいちゃん加減の素晴らしさには本当にビックリしました。体系的にはそうは見えないけど、表情や仕草、喋り方なんかもおじいちゃんにしかみえない。本当に素晴らしい俳優だと再確認しました。
オバカな僕にとっては、歴史の勉強にもなった気がします。
いろんな映画で人種差別描写は出てきますが、この映画のそれはかなり衝撃でした。白人であろうと、黒人を擁護しようものなら容赦なく叩くのですね。こーゆー暴力描写は心が痛みます。
ラストの丁寧さも特筆すべき。
ホワイトハウス内で白人と同等の権利を勝ち取り引退。その後は息子と和解して、云云かんぬん。映画でよくあるのが、主人公の"その後"をテキトーなワンカットで見せたり、文字や声での説明だけにしたり、エンドロールでハイライト的に見せるとか。でもこの映画はスゴく丁寧に描いてくれてるし、オバマが出てくる事で現代人にも飲み込みやすいハッピーエンドになってると思う。
レンタルでの鑑賞だったが、映画館で見れば良かったと後悔させる作品だ。
それでも夜は明けると比較してしまう
公開時期が比較的近く、自分自身観たタイミングが同じだったため、どうしても比較してしまう。
それでも夜は明けるが強烈だったので、今作での黒人に対する対応はやさしく見えてしまう。
主人公が外に出て初めてお世話になったマスターに教わったことが人生に大きく影響していたはずなのに、あっさり表現されていたように思われ、主人公がどのようなことを学び人生に活かしたのかという部分にもっと重点を置いて描かれていたらと考えてしまう。
心重いですなぁ。。
綿花摘みのプランテーションから始まった、主人公の世界。
まるっきり米国における黒人の差別の歴史の縮図だな。。。
差別の反対運動や、戦争や。。。。まあ、重い映画ですよ。
大統領なんて、白人プレップのお坊ちゃまで、黒人がリアルにどういう目にあっているのかとか、そういうことを考えることなく生きてきていたのだろうけど、それに対して、身近に接する執事の直面する問題を見ることによって、差別がどういうことなのかを本当に理解していく様が、すごい。。。事実かどうかはまあ、わかりませんが。
等身大の瞳から観る"本当のアメリカ"
7人の大統領に使えた黒人執事、セシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)の実話を描いたストーリー。
「すぐ目の前で世界が動いていた」というキャッチフレーズの通り、彼は世界の中心であるホワイトハウスに仕えていた。しかし、ホワイトハウスに"本当のアメリカ"など存在しない。
セシルが本当にみつめていたものは、"黒人としての定め"を受け入れた自分自身の人生だった。黒人に生まれ、「ハウス・ニガー」として生きてきたセシル。父親を殺され、首をくくる黒人を見つめ、ホワイトハウスの執事として誇りをもちながら、革命運動をするわが子を勘当する。この物語には彼にしか見えない"本当のアメリカ"が描かれているのだ。
物語は、中盤からセシルの子供・ルイスにもフォーカスを当てている。大学で革命運動を始めたルイスと、ホワイトハウスに仕える父・セシル。二人は同じアメリカに暮らしながら、全く別の道を歩んでいくのだ。さまざまな想いが渦巻くアメリカの現状を、この物語は見事に書き出している。
話の中で、この映画を象徴する台詞がある。それは、セシルの妻・グロリアの台詞だ。セシルから告げられたケネディ大統領が暗殺事件を受け、彼女は一言、「そんなこと、知ったこっちゃない」と吐き捨てる。夫と子供が互いの道を進んでしまったせいで、崩壊しかけた家族を見つめていた彼女の叫びだった。家でひとり、家族を見守っていた彼女にとっては、大統領が殺されようが、差別問題に革命を起こそうがそんなことは「知ったこっちゃない」のだ。ただ、ばらばらになってしまう家族をどうにか食い止めたかったに違いない。
彼らの家族が国の崩壊を象徴しているようであった。
黒人差別問題、ケネディ大統領の暗殺、KKK、そしてオバマ大統領の就任。アメリカが大きく動いていた時代を、等身大の彼の目を通して見事に描ききった映画史に残る傑作である。
執事は見た!
主人公とその長男の確執とやがての和解をとおして公民権運動の歴史を長男の活動側と主人公の権力側とを平行して描いてゆく。
混乱する国内をまとめようとするアイゼンハワー。
理想に目覚め実行しようとする前に凶弾に倒れるケネディ。
四六時中仕事をしているジョンソン。
リアリスティクな考えと行動をしながら最後には去るニクソン。
レーガンとの親交。
それは白人の黒人観が変わってゆく歴史でもある。そして主人公が執事の仕事を辞めるときにレーガンと交わした会話がこの作品の主題だろう。
フォレスト・ウィテカーの演技が良い。若い頃と老境に入り始めた頃の給仕の動きの違いとかの細やかな演技が教科書のように成りがちな作品に深みを与えている。
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