「政治の黒人の扱いに間近で給仕した執事」大統領の執事の涙 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
政治の黒人の扱いに間近で給仕した執事
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オプラウィンフリーが一貫して家族の団欒を望む一心でイライラしたり喜んだり料理を頑張ったり踊ったりする描写が、一黒人が安心できる暮らしを守りたいだけの公民権運動の実情を表していてとても良かった。
黒人の優しさ温かみや黒人同士の寄り添い合うソウルがこの作品でも出てきて心地良い。
奴隷制から一連の公民権運動の時代を背景に、執事として生きた父セシルと、家庭を守りたい母グロリアと、声を挙げて闘った長男ルイスと、国のためにベトナムで戦死した次男チャーリー。一家は時代の波に乗って、それぞれの人生が翻弄されていく。
セシルが大統領の側で働いているために、歴代大統領の政治上の立ち位置と、それが反映される実際の国民の生活を代わる代わる見られて面白い。
生きるためにお店を壊し、盗みもままならず、白人の抱く黒人のイメージそのものだったセシルが、白人が黒人に抱くイメージを変えるまでに至る。相手が大統領でも堅くならずしっかり仕事をし、叩き込まれた相手ののぞみを察する事で1対1での信頼関係を時間をかけて築いて、望みを叶える近道にしているセシルを尊敬する。
いつの時代も公にはできなくても黒人に融和的な人はいたのかもしれないが、多くの黒人はセシルのように運に恵まれなかった。命を落としても主張が通るどころか主張する事すら許されず、親も失った子供時代があるから、白人とうまく渡り合う事で暮らしを得ているセシルには、ルイスの活動は命を軽視して若さに身を任せて粋がりながら正当性を訴える軽はずみに見えたかもしれないが、親子共願っていることは同じで、時間をかけて和解をできて良かった。
マライアキャリーがあっさり殺されて驚き。
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