「タランティーノよりもグロくて、三池崇史よりもイカれてる」渇き。 ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
タランティーノよりもグロくて、三池崇史よりもイカれてる
この映画を真正面から受け止めてはいけない。なにしろ登場人物が全員狂っている。まともな人間など一人も出て来ない。そんな連中が恐喝、暴力、レイプ、殺人を繰り広げるのだから、真正面から見たらテンションはだだ下がり。スクリーンに映し出されるのはタランティーノ作品よりもグロくて、三池崇史作品よりもイカれた人しかいない世界だ。
ただ、この映画の登場人物たちの狂い方は異常。見ていて笑えるくらいの気の狂い様。役所広司の娘を探す執念はどこか間違ってるし、妻夫木聡のニヤケっぷりは最高に気色悪いし、オダギリジョーの冷徹さはクールさを飛び越えて不気味だし、二階堂ふみのヤンキーは完全にイッっちゃってる。おまけに物語の肝であるはずの小松菜奈がとんでもない悪女とくれば、これは極上のスプラッター・コメディに見えてくる。ココで笑っていいのか?とも思えるが、どいつもこいつも狂っているのだから、笑うしかない。
悪人が悪人から裁きを受け、その裁いた悪人の想いはどこにいくのか?ブッ飛んだパンクな風潮で物語が展開したのに対して、意外なほどしっとりとしたラストに竜頭蛇尾な感じは否めないが、この狂人たちの狂想曲をブラック・ユーモアとして笑えた者勝ちな作品だ。
ただ、この映画R15で良かったのか?というのが最大の疑問である。
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