「寓話」渇き。 さくやさんの映画レビュー(感想・評価)
寓話
もうずいぶん昔に観た映画なのですが、不当だと思えるほど評価が低いので、覚えている限りのことを書きます。
中島監督の映画は、寓話的要素が多いと感じています。
きちんとテーマを読み取ろうとしたならば、面白くないはずがないと。
この映画の裏テーマは、「不思議の国のアリス」じゃないでしょうか。
アリスは兎に導かれて不思議の国を旅し、お姉さんの膝の上でふと目を覚まし、今まで夢を見ていたのだと気付きます。
アリスは加奈子のシャドウ。
友達の死をきっかけに、「不思議の国」を旅し、マッドハッターや三月兎をてんてこまいさせます。
加奈子の本棚には「ドリアン・グレイの肖像」がありましたが、ドリアン・グレイは加奈子以外の、隠している自分の醜さが肖像画に露わにされていることに気づかない、愚かな人たち。マッドハッターや三月兎たちです。
だから、彼らがどれほど必死で雪の下を掘ったって、加奈子が見つかるはずがないのです。
彼女は今頃、どこかの世界で「ふと」目を覚ましているに違いないのだから。
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