銀の匙 Silver Spoonのレビュー・感想・評価
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要らない解毒剤
これまで「毒」を振りまいてきた吉田監督。堀北真希さんという究極のピュアネスを使っても、猛毒を振りまいた「麦子さんと」。今度は中高生中心、いや、ピンポイントにした題材の映画だ。
なるほど、ちょうど「WOOD JOB!」と正反対の映画だ。
決定的に違うのは、いわゆるリアリティの演出で、本作はドキュメンタリーチックな語り口のなかを人気俳優が自身のキャラクターそのまんまを演じて、結果リアリティからほど遠い世界を見せているのに対し、「WOOD・」は役者はキャラを主張し、世界観は決して壊さない。
これは、間違いなく「客層」を考慮した上での興行的戦略の差だろう。
結果、これまでの吉田監督の毒にうなされつつも、毒を求めてきた俺としては、見るも無残な青少年映画となってしまったことに、一応の納得はした。オレの言う無残とは無毒、といってもいい。
だからまず、俺がガタガタ言う映画ではない、ということだ。
しかし、なにより、ずいぶんとハズした役者をあえて揃えてきたなあ、と。ここまでくるとわざと、としか思えない。「麦子さんと」の堀北真希さんはだからこそ、の配役だったが、本作の役者陣にその意味はない。
また、ドキュメンタリータッチについて、「ばしゃ馬さん・」の老人ホームのシーンでものすごい違和感を感じた、やっすいドキュメンタリー感な絵がここでは全編に渡って繰り広げられる。
今回、とる題材が合わなかった、とか、メジャーに合わないとかは、関係なく、明確なターゲット層の作品で、求められる結果を出せなかったように見える。
こんな実写化なら原作者もしあわせなんじゃないか。
デビューから一貫してオリジナル脚本で勝負していた𠮷田恵輔監督が、初めて原作モノに挑戦した作品。まだ原作マンガが連載中であり、物語のどこまでを切り取っていかに再構成するかが問われたはずだが、原作では主人公が過労で倒れて参加できなかった文化祭をクライマックスに持ってきて、しかし映画では主人公を外すことなく、でも「いてほしかったのに参加できなかった人物」を別に設定するという脚色の妙に唸った。原作の核を損なうことなく、映画としてひとつの物語にまとめあげる見本だと思っている。
そして上島竜兵を校長役に起用して、その佇まいを活かして一切ギャグキャラにしないなど、適材適所で新たな面を引き出す𠮷田流キャスティングが冴えている。アイドルのオーラを消した中島健人、当時はまだ無名の脇役だけど明らかに他と違う存在感を発揮していた岸井ゆきのと矢本悠馬、実写化中でもほぼマンガそのままの役を絶妙な塩梅で演じた黒木華らの若き日の姿を見られるのも、今にしてみたらかなりのお得感がある。
大蝦夷農業高校
舞台は北海道帯広農業高校がモデルという大蝦夷農業高校。
数多ある甘ったるい青春ものとは一線を画す食用動物の飼育というシビアなテーマを扱いながら子供たちが逞しく成長してゆく様を描いた秀作。
都会の若者が観る想定なのか、主人公を通じて得る疑似体験の数々も感慨深い。
食用になることを宿命づけられた鶏や子豚の飼育、役目を終えれば処分されてしまう牛や馬、ややもすれば感情的な安っぽい悲劇の学園ものになっても不思議でないのだが若者たちは悩みながらも現実を受け止める、主人公がヒロインに惹かれるきっかけも広瀬アリスちゃんの胸チラだったり若者の本音が垣間見られる演出も面白い。
「将来の夢は無いけど、それは何にでもなれると言うことかもしれない・・」など淡々としたセリフの中にある重みなど、脚本・監督の吉田恵輔氏の巧みさに脱帽、ナチュラルに描いてこそ通じるものが生まれます。
キャスティングもバラエティ豊か、故・上島竜兵さんが校長先生、ドタバタギャグ以外の一面を観ることが出来、良かったです、改めてご冥福を、お祈りいたします。
ラストのゆずの主題歌も余韻に浸るにはうってつけ、ベタではありますが良くできた青春映画でした。
逃げるのは悪いことじゃない
Amazon Prime Videoで鑑賞。
原作マンガは第3巻まで既読。
高校受験に挫折した主人公が、農業高校の仲間たちと共に命と食を学び、酪農の抱える現実に打ちのめされながらも、目標を見出そうとする様を描いた青春ドラマ。
悩む八軒勇吾に先生が掛けた言葉―「逃げるのは悪いことじゃない。逃げた先で出会ったものは、そんな悪いもんじゃなかっただろ?」。すごく心に沁みて来ました。
逃げると云うと一見マイナスなイメージだけど、戦略的撤退と云う言葉もあるし、一旦その場から離れることで心が切り替わり、返って良い効果を齎すのかも。
八軒が両親にちゃんと向き合うことを決意した様に、逃げることで強くなれたりする場合もあるのではないかな、と…。決して悪い面ばかりじゃないなと思いました。
[余談]
岸井ゆきのがとてつもない端役で出演していて驚きました。
※修正(2024/04/07)
そこカットするんかい
おいおい、ピザ窯の話はカットですかい!
って言うね。あの話が一番八軒成長の話につながるかなと思ったけど
あれが丸々豚丼の燻製とそのあとの馬場づくりになるわけか・・・・
んー、まぁそれでもいいけどそれだと中村獅童を大仏先生に据えた価値がないんじゃ?
もうちょっとはっちゃけてくれても良かったよね。先生。
でも案外トサツ場のとかもリアルに出しちゃうのね。
まぁそんな決定打はなかったけど、チラガー出てたしなぁ。
まぁチラガーだけどな。
それと
たま子!!!たま子がビジュアル良いだけに何か残念なんだけどっっっ!!!
たま子の良いとこ出てないぞっっ!!!たま子!!!!
たま子の無駄遣い!!!!
原作は読んでません。意外に地味・・
期待より全体的にほのぼのしていて・・ちょっと物足りないくらい。
宣伝ではコメディー要素が強いのかと思っていたので、なぜそこまでほんわかしているのか・・原作は読んでいないので、もしかしたら原作がこんなほんわかした世界なのかもしれない・・と思っています。でも酪農という世界をわかりやすく描いていて、それなりに学べた。主人公はちょっと元気なく地味だが、周りの仲間とうまく生活を送り、自身も成長する。じつにわかりやすかった。でも、学園ではあまり大きな事件や出来事もなくって・・なんか平凡。みんなでバーベキューしているあたりは・・もはやグルメドラマ?とまで思わせる。もっと・・汗かいて!活き活きした酪農生活をイメージしていたので、もう少し主人公が元気なキャラクターなほうが気持ちが良かった。一方、ヒロインの女の子は存在感があって、すがすがしく、最後まで活き活きしていた。とても良かったと思う。
主題歌はゆずさん。これはいい♪爽快感がいい♪
眼鏡男子目当てで
原作漫画、アニメにはまったく手を出していなかったのですが、ある日TBSのバラエティを見ていた時に主演のジャニーズの方の眼鏡姿に釘付けになってしまい映画館行きを決意。
眼鏡萌えできるかについては、まあそこそこ。鶏の血がレンズに跳ねたところはドキドキしました!
私が行った時はファミリー層が結構見られたのですが、作品のテーマでもある豚の屠殺の映像も、しっかりとありました。ショッキングなシーンは抑え目でしたが、生首が置いてある場面はギョッとしました。
最後の展開は急に感じたかな。劇中ではある程度の月日が流れていたんでしょうけど、ヒロインの子ともあっさりくっついてしまったのが、うーん。
駒場もどこかで報われると思ったのですが。
世界観に浸りたいのであれば、役者さんに興味がない限り原作を読んだ方が確実だと思われます。
よかった
最初は主人公がいじけているくせに、酪農の学校をバカにしている感じにイライラしていたのだが、次第に酪農の素晴らしさを理解していく過程がよかった。主人公はいじけていたけど、委縮はしていなくてそこもよかった。命が経済であることをきちんと踏み込んで描いていた。
ヒロインのライバル役の黒木華さんが意地悪だけど可愛くもあってすごくよかった。
『夢は牛のお医者さん』の後に見たせいか感動がひとしおでした。
思ったよりは
良かった。動物のと殺の場面などは少しグロテスクだったが、その場面があってこそ、作品のテーマを感じられるのかも。原作のファンだけれど、原作で一番印象的だった八軒の台詞はそのまま使われていて良かった。個人的にはタマコがハマり役だと思う。
私には合いませんでした……(~_~;)
序盤に、アニメ1期(11話分)で起こった大きなイベントを詰め込んで、ザッと流した感じでした。
豚丼の一連のエピソードもギュッと凝縮されて、八軒の葛藤や成長も分かりづらくなってしまっているかな、と思います。
御影の跡継ぎ云々や八軒の家庭の問題もさらっと終わってしまった印象で、少し残念でした…。
また、原作やアニメを知らない人向けなのか、キャラクターの性格が少し変わっていました。南九条なんかいい例ですね。あの改変はちょっといただけないかな…汗
全体的に、原作やアニメで繊細に描かれた八軒の葛藤や成長が上手く描写されておらず、ごちゃごちゃして粗雑な所感です。原作やアニメで伝えたかったことがこの映画からはあまり感じられませんし、結局何が言いたかったの?っていう…。役者さんたちはなかなかの好演を見せてくれただけに、脚本が惜しかったと感じざるを得ません。
偉そうに評価しましたが、あくまで個人的な感想です。気を悪くされた方がいらっしゃいましたら申し訳ございません。
ところどころ笑える部分もありましたし、最低最悪とまではいいません。私に合わなかっただけで、銀の匙とは別物として見ればギリギリ及第点です。
美味みに感謝。
原作もアニメも見ていないんだけど、とにかく監督が吉田恵輔。
それだけで期待して観に行ったような作品だった。
オリジナル脚本に拘っていた監督が、今回選んだのは原作モノ。
おそらく脚本でかなり変えている?部分もあるんだろうが、
やはり説得力のある描き方は変わらず、観応えがあった。
親の強いたレールに失敗して自分で選んだ進路が、彼の将来の
夢を象る一歩になるかどうか…というのがテーマだが、
青春モノという枠を出ずして、酪農の経済実態も描かれており、
動物の命を貰う作品を生半可な意気込みでは作れないと感じた。
もちろん私も酪農には無知で経験すらないのだが、
母が畜産農家出身であり、帰省する実家で乳牛を育てていた。
伯母の家に行くと豚もいたが、私は子供時分行くのを嫌がった。
正直、かなり臭い!のだ。どの家に行っても家畜のウンコ臭。
だから初めて八軒があの高校の家畜小屋に入った時、
臭いのことをまったく口にしないのが不思議だった。
その後、動物が大好きになった私もあの臭いは未だに忘れない。
八軒が「豚丼」と名付けた豚が出荷される時、是非自分で!と思った
彼がその肉を買い取るところは非常に印象的。彼はその豚肉を
ベーコンにして先生生徒に配る。自分達で育てた豚を自分達で頂く。
経済動物の昇華(消化)と命の有難み。美味い♪美味しい♪と声が
上がる度に、八軒は自分の学んでいることへの実感を深めていく。
同級生のアキや駒場もそれぞれが持つキャラの個性がよかった。
アキ役の広瀬アリスは主人公の中島健人同様にキラキラ感が強く、
それを消し去るのに監督は苦労したようだが、彼女の場合は動物
が大好き!ということで家畜と違和感なく戯れているのが印象的。
馬術部ということで馬との触れ合いが多いのだが頑張ったと思う。
駒場役の市川知宏はまずカッコいい(爆)クール。といった感じで
八軒とはいいライバルになるのだが、彼は家の事情で退学をする。
主人を失った酪農一家が借金を抱えながらどこまで踏ん張れるか、
可愛いとか可哀想とかそんなレベルでは語れない苦悩も描かれる。
タイトルの銀の匙の意味を知った時には少し驚いて感動した。
農家の子に生まれたからといっても、食うに困らない時代ではない。
「食うに困らない」子に育てるため、親は教育に力を注いでいるけど
生産物の根本を分かっていない子供を育てても食育にはならない。
お肉はスライスされ、魚は開かれ、野菜は泥を落としてから売られ、
それを当たり前のように購入して調理して食べる人間達がいる。
劇中では豚の屠殺シーンを見せるが、これをするから肉が得られる
ことをしっかり把握しておかなければペットと家畜を混同する人間に
なってしまうと思う。食べるには残酷なことなどたくさん冒している。
八軒に「夢のないことはいいことだ。」という校長の台詞は
その子への励ましだと私は受け取った。まずは自分でやりたいと
思うことを探さなけりゃ、夢なんか見つかるワケがない。
こんな世の中だからと嘆かず、自分の人生一度きりなんだからと思い、
とりあえず色んなものに挑んで染まってみたら面白いと思う。
何にでもなれる。のは潰しが利く若いうち!(爆)これだけは本当だ。
(ちなみに息子のオムツの中はもっと臭かったのです。あははは^^;)
銀の匙
銀の匙みにいきました!
もーーせっかく長文書いてたのに間違えて閉じるおしちゃって全部消えてしまった!
もーー。ってこんなことレビューに書くのはおかしい。
銀の匙はアニメから見てました!
映画とても面白かったです。私にいろいろ気づかさせてくれる映画でした
実写ならではのリアル感。
豚丼。豚丼。。
豚丼がお肉になって帰ってくるシーンを見ると、アニメでも映画でも、もうお肉は食べない!って思うんだけど食べちゃう。だって美味しいんだもん。
だからちゃんと、感謝して残さず食べて
いただきます。ごちそうさま。
その言葉をちゃんと言おうと思いました
それて北海道のあの広大さ!素敵やねぇやっぱ!住みたいねー!!
素敵な友達と出会えたりあんな環境で学べられる八軒がとっても羨ましく思います
私もクタクタに疲れたい!それだけ頑張れるような何かに出会いたい!!
とりあえず映画銀の匙見てよかったです
薄味で食い足りない。「ふーん」と思って終わる。
「恋愛も友情も、親との葛藤もあって、ユーモラスでウエルメードな作り。でも、薄味で食い足りない。「ふーん」と思って終わる。」という毎日新聞の映画評通り、さらりと終わる作品でした。『ばしゃ馬さんとビッグマウス』毒気のある登場人物同士のぶつかり合いを描いてきた吉田監督にしては、毒気のないところが気になります。
もちろん主人公の八軒を原作以上に、現代の都会暮らし青年に近づけて、等身大で描いているところはいいと思うのです。でも、原作の八軒というのは「バカヤロウ、肉は正義だ!」と雄叫びをあげて、クラスメートの先頭に立っても並々と肉が盛られたスカイツリー豚丼に突進していく肉食男子の激しい一面をもった奴。もし監督が『土竜の唄』の三池監督なら、もっとゴツゴツした肉食男子ぶりが強調されたことでしょう。何となく、草食男子でなよなよしている八軒の都会っ子ぶりのほうが強調されてしまいました。
もう一点気になることは、家畜との向き合い方、個人農家の苦境に八軒父子の確執まで、欲張りすぎて深みがもう一つ感じられませんでした。
主人公の成長物語に絞りながら、酪農家のやりがいや経営的な苦労、そして精魂込めて育てている家畜に対しての愛情と、同時にやがて訪れる出荷時での「経済的生産物」としての割り切り方の描写については、原作のエッセンスをうまく抽出しているとは思います。そして八軒がリタイアした受験戦争やその後の競争社会と、結果が全てという家畜の世界が重なって見える対比も面白いと思えました。さらに食肉解体場面をギリギリまで見せ、家畜の命を巡る現場をキチンと描かれているところにも、酪農の現実を逃げることなく見せてくれたと思います。けれども、それらをトータルでつないだとき、中途半端さを感じてしまったのです。例えば、クラスメートの駒場の実家の借金が原因で離農することに巻き込まれて、アキも可愛がっていた馬を手放さなくなったときも、割と淡々と描かれてしまいました。
現代の酪農の問題にも例えば牛乳の単価が1リットル87円にしかならなくて、これではえさ代を払ったら、利益にならないというような切実な問題にも触れてはいます。でも
実際の酪農家の実態はもっと深刻で危機的な状況にあることまでは深追いしません。
またそんな危機にあって、原作では八軒も悩み、「豚肉ファンド」を立ち上げるなど酪農の未来を変えようとするところまでは踏み込みませんでした。
くわえて、ヒロインのアキとの関係も友達以上・恋人未満で、ラブコメまで踏み込みませんでした。だから、見終わったとき何が伝えたかったかということが、いろいろあって印象に残らなかったのです。あくまで続編前提で作られているところがアリアリなんですね。
それでも演技面では、八軒を演じる中島健人の主人公の成長に合わせた表情の変化にメリハリを利かす演技は、良かったです。中高一貫の進学校から、いきなり農業高校の畜産学科に、何も考えずに進学してきた八軒の戸惑いぶりから、次第に酪農に本気になっていくところには、説得力のある演技でした。ジャニーズのアイドルとしての普段からの冴えない変身ぶりも凄かったです。
またそんな八軒を支えて、酪農や馬術に本気にさせるアキを演じるは、広瀬アリスはヒロイン役にふさわしく、可愛さが際立っていました。中島のほか、同級生役にも存在感があり、中村獅童、石橋蓮司、西田尚美らが要所を締めます。実力派の脇役が揃っているため、ギャグもばっちりで思わず笑えるシーンも満載。これなら原作を知らずとも、肩に力を入れずに楽しめることでしょう。
もう一つ本作を評価したいところは、酪農高校の日常のリアルティにこだわっているところ。いかにも農業とは無縁そうな若手俳優が、堂に入った手つきで牛の肛門に手を突っ込んだり、乗馬も障害までこなすところは、何気なく撮っているけど、慣れるまで大変だっただろうと思います。特に広瀬は、クライマックスのばん馬レースも迫真の演技で実演して見せました。ばん馬はサラブレッドの2倍近い大型馬なので、演じている広瀬も怖かったでしょう。
要所に挿入される酪農高校周辺の風景も雄大で、彼らの奮闘ぶりに華を添えていました。でもちゃんと青々と茂る草木に家畜の排せつ物が写っているんですねぇ(^^ゞ
最後に、酪農高校っていいなあと思ったのは、ベーコンの調理など自分で大量につくって、クラスメートと一緒に校庭でがっつくこと。あんな感じで大勢で食べるとおいしさも格別ですね。八軒が作ったベーコンは、可愛がっていた「豚丼」というブタのなりの果てで、そう簡単に割り切れるものかと思ったのです。可愛かったブタでしたからね。でも、作っているときは、ベーコンの香りがスクリーンから伝わってきて、お腹がぐぅとなりました。人間って、残酷な生き物ですね(^^ゞ
出されたものを食べてるだけの現実だと
原作は途中まで百姓貴族を読んでいたので、ただ笑える,感動だけではないだろうと思ったら、どんぴしゃという感じです。
主人公が育てた豚に対する気持ちに周りの生徒達はクールで冷たいとも思える言葉を発しますが、それらは環境からくるものです。
割り切って感情を捨てている訳でもありません。
農業や畜産というものに関わる事がない人、その世界を知らない人は、この映画を観たとき、多少なりとも驚いたり,感心したりすることがあると思います。
豚や牛の一頭の肉、牛乳一リットルの原価がどれだけ安いのか。
それを作るために努力している人間。
金を出して食べる側の人間。
いつも食べてるものを見て,こんな事を考えている人は、あまりいないと思います。
野菜しか食べないベジタリアンだからとか、普段から肉や野菜あまくり食べないという人も、この映画を観て、供給者である農家、それに携わる側の事を少し考えることができたらいいのではと思います。
主人公が受験戦争のプレッシャーに負けて親から期待しないと,冷たく突き放されたとき。
成績の悪い馬や鶏ガ食肉にされたとき、借金だらけの牧場経営が成り立たなくなってしまったとき。
人間は家畜みたいに逃げ道がないわけではない,逃げるのは悪いことではないという中島先生の(中村獅童)の言葉には納得しました。
仕事で行き詰まって、学校の成績がよくない、虐められる、実社会でも理不尽なこと、納得いかないこと色々とあります。
銀の匙、タイトルとその意味に、最後ああそういうことかと納得できる内容です。
好きな俳優や役者さんが出ているから、農業や畜産って゛とんなものって思ったり興味があるなら観てほしい内容だと思います。
中途半端
八軒のネガティブさも、断れなさも、おせっかいさも、頭の良さもすべて中途半端に描かれていて残念でした。
原作を読んでいて印象に残っているのが「食事」のシーンだったので、たまごかけご飯やピザを作るシーンなどを期待していました。
しかし、ことごとくカットされていたのも残念。。。
ラストも、結局八軒は何一つ成長しないまま終わったような描写だったので後味が悪かったですし、駒場も「甲子園」という単語が出てこなかったので突然退学した印象でした。
原作が好きすぎて、ハードルを上げて見ると損をする映画です。
…ただ、サブキャラの完成度(富士先生やタマ子)が高かったのですぐ馴染めました。
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