「長い、と感じてしまう。」祖谷物語 おくのひと 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
長い、と感じてしまう。
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都会と田舎、文明と自然、もろもろの対比を、祖谷を舞台に描く。そのメッセージのスタンスは、どこにでもあるごく普通のもの。じつは、僕はそういう映画が最近どうも苦手になってきている。どこか説教じみていて。
この映画は、ドキュメンタリーだったわけじゃないよな?って錯覚を誘うくらいに、お爺のセリフがない。そのくせ、終盤ファンタジーチックになっていく。たぶん、お爺との祖谷での生活に限りがあることを感じ始めた春菜の妄想なのだ。
お爺を探して行き着いた河原で、遠くに見える山に向かい「お爺!」と叫ぶ。そのシーンと、東京で案山子を見つけてコンクリ壁の川床に降りたシーンのアングルがそっくりで、あ、案山子は探し当てたお爺なのだなと感じた。
結局、寄生虫のようなフリーターが「ああ、田舎でのんびり暮らしてえ」って暢気に言うセリフ(都会人の持つ田舎への偏見)に対するアンチテーゼなのかな。
言いたいことはわかるし、わからないところもわからないなりに、何につながるのかくらいはうすうすわかるが、どうもしっくりしない。真摯につくっているのにこう言うのは悪いが、気持ち悪い。おまけに、長い。長いのは(尺が長いのが悪いのではなく、言い直せば長く感じてしまうのは)、丁寧だということではなく、伝えることが下手ということだ。
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