「いつもと違う芦田愛菜だよ!」円卓 こっこ、ひと夏のイマジン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
いつもと違う芦田愛菜だよ!
小学3年生の琴子。通称こっこ。
大阪の団地で両親、祖父母、三つ子の姉と暮らし、夕食時は家族皆で円卓を囲む。
こっこは普通の事が大嫌い。
吃音やものもらいや不整脈を患うクラスメイトに憧れ、真似して。
何にでも興味を持ち、気になった事はジャポニカ学習帳にメモ。
性格は小生意気で、口が悪く毒舌家。
そんなこっこを演じるのが、芦田愛菜。
愛くるしく、よく泣く演技で子役にしてシリアスな役が多い芦田愛菜の、これまでのイメージを覆す活発な役柄が新鮮!
元々、大人の俳優にも引けを取らない演技に定評あったが、今回の演技力の高さにはひときわ驚かされる。
「うっさい、ボケ!」「黙れ、ヒラ社員」「凡人め」などなど関西弁でまくし立て、まさか芦田愛菜の口からこんな台詞を聞くとは。
「ウチのマネージャー、使えないんだ」なんて台詞もいずれ言いそう?(笑)
人と違う事が、「かっこええ!」。
でも、不整脈を患うクラスメイトの真似をした時は、さすがに先生にマジ顔でたしなめられる。
何で?
お母さんが妊娠。家族は大喜び。
でも、こっこは嬉しくない。
別に嫉妬じゃないけど、何がそんなに嬉しいの?
この年代の子なら誰もが抱く「何で? 何で?」の好奇心。
もう可愛いだけの幼子じゃなく、色々考えるようになって抱くモヤモヤとした感情。
それらをあくまで子供目線で実に巧みに描写している。
こっこのひと夏。
多くの体験をしたイマジンなひと夏。
こっこの家族には、個性派揃い。中でも、羽野晶紀お母さんと平幹二朗おじいちゃんが好演。
クラスメイトも皆、巧い。
特に、親友で吃音症のぽっさんの内向的だけど優しい雰囲気がイイ。
もっとコテコテの関西コメディと思ったら、笑いと涙を織り交ぜ、感受性のある仕上がり。
同じ西加奈子原作の「きいろいゾウ」は退屈で仕方なかったが、行定勲の演出も冴え、好編に。
文部省推薦にしてもいいくらいの児童映画の良作。