劇場公開日 2014年6月21日

「【小学校3年生の女の子のイマジナリー溢れる、人間性肯定の作品。芦田愛菜さんの関西弁を駆使した確かなる演技が魅力的な作品でもある。】」円卓 こっこ、ひと夏のイマジン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【小学校3年生の女の子のイマジナリー溢れる、人間性肯定の作品。芦田愛菜さんの関西弁を駆使した確かなる演技が魅力的な作品でもある。】

2022年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

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幸せ

ー 芦田愛菜さんは、御存じの通り、今作を含め子役から最近作で言うと、「メタモルフォーゼの縁側」でも、実に魅力的なキャラクターを演じた若き、素敵な女優さんである。
  私は見たことが無いが、TVの番組でも活躍されているそうである。
  子役から一流の役者さんになる難しさは、テイタム・オニールに幼き頃、魅入られた(「がんばれ!ベヤーズ」です。「ペイパー・ムーン」は年代的に後日鑑賞。)ので、相当なモノであろうと思われるが、今作を観ると、芦田愛菜さんの演技力には舌を巻いた作品である。-

◆感想

・芦田愛菜さんが演じる、大家族の中で育つコッコちゃんが、大人達から教えられた気になった言葉や初めて知ったことをノートに書き留めている言葉が、画面に出て、それを箸で摘まんでいくシーン。
ー 大九明子さんの「私をくいとめて」は、ここから、ヒントを得たのか!と思ってしまったぞ!-

・コッコちゃんが、団地の隣に住む在日三世の吃音の少年ぽっさんに興味を惹かれて行くシーン。
ー 西加奈子さんが拘って書いているテーマである。ぽっさんのお母さんを演じた、美しき中村ゆりさんも在日韓国籍である事を表明しているが、それはこの映画では主題ではない。-
 コッコちゃんは、純粋に吃音の少年の自分にはない、名前が二つある事に興味を持つのである。

■白眉のシーン
 ・クラスの中で、目立たずに過ごしていた女の子の机の中の紙切れに書かれていた”死ね”と書かれた大量の紙切れが、コッコちゃんと出会った後に、夏休み明け、コッコちゃんが不思議に思っていた言葉に変わっているシーン。
 その女の子の髪型も、口角が上がった顔が分かる様に変化している。

<コッコちゃんの大家族が中華の円卓を囲むシーンはとても良い。
 そして、その中でコッコちゃんのお爺さんを演じた、故、平幹二朗さんもとても良い。(コッコちゃん達が交わす言葉を英語辞典で確認する姿・・。)
 コッコちゃんの、お父さん(八嶋智人)とお母さん(羽野昌紀)が、”子供が出来た!”と告げる姿に最初は違和感を感じていたコッコちゃんが、一夏の経験をして、お母さんのお腹に耳を当て、生命を感じるシーンは、沁みたなあ・・。
 素敵な物語であると思います。>

NOBU