ペインレスのレビュー・感想・評価
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観てよかった。
はじめに、この映画を見る前に海外の実話を取り上げるバラエティ番組のワン・コーナーで取り上げられていた実際の無痛症の子どもさんについて触れておきます。
何年か前にテレビで一度見た限りなので、うろ覚えですが、
無邪気そうな男の子が、冬の寒さから暖をとるためにストーブの前に座っていて、
背中をやけどしてしまう…。
とかいうエピソードでした。
その男の子が無痛症で、普通なら熱くてストーブの前から離れるところ、痛みを感じない彼には自分の身体の危機に気づくことが出来ないのです。
一見すると、その男の子も、映画の中に出てくる子どもたちも無邪気なんです。
このペインレスは映画なので、極端な設定だったり、脚色されているけれど、まったく架空のお話ではないということを知っておくとなお見終わった際に考えるものがあります。
冒頭、自分の腕に火を付けて遊ぶ少女イネスが友達か姉妹とおぼしき女の子にもランプの油と火を付けていっしょに遊ぼうとするシーンがあります。
そのあとも、納屋で自分の腕を食いちぎる少年ベルカノが出てきます。
この二人が劇中に出てくるペインレスの子どもで、彼らが異質な存在だというところから始まります。
物語は内戦直前のスペインと、その後の現代のスペインで生きてきた男性ダビッドとを結ぶ形で進みます。
…多少ネタバレになりますが、印象に残ったシーンをいくつか挙げます。
痛みが分からないから危険視されて、隔離施設に移送されることが決まったシーン。
隔離施設で授業の一貫として登場した子犬にはしゃいでいるシーン。
状況が変わって、衰弱していくイネスが安楽死の薬剤を打たれる中、ベルカノが怒りを爆発させるシーン。
一番最後…。
このシーンに至るまでの過程や隔離施設、時代背景もあって、より鮮烈になるのですが、ベルカノが辿る人生は、彼自体が怖いだけにとどまらない…。
…原題のインセンシブルの意味は、感覚がない とか、極端に鈍い とかいったものみたいです。
日本向けに分かりやすく、ペインレスの題名になっているのは仕方ないと思うのですが、
鈍い…っていうのが、痛みが身体的に
全くないという意味だけでなく、感覚や感情がないわけではないという意味で、
しっくりきました。
出来るなら、他の子どもたちのエピソードや、ベルカノが17号室で得た安息の日々ももう少し観たかった。
スペイン産ホラーは悲しくて爪痕のような余韻が残ります。
〝永遠の子どもたち〟や〝デビルズ・バックボーン〟のあたりがお好きな方におすすめします。
他の方のブログ評価も拝見していますが、私個人の意見では、観てよかったです。
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