書くことの重さ 作家 佐藤泰志のレビュー・感想・評価
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夭折の作家・佐藤泰志の心の闇が垣間見える
今や佐藤泰志といえば、文学好きだけでなく映画ファンにも名を知られるようになった。
すべては「海炭市叙景」の映画化から始まり、「そこのみにて光り輝く」「オーバー・フェンス」「きみの鳥はうたえる」「草の響き」と5本も映画化されている。
だが、そのことを佐藤は知らぬまま、1990年に自ら命を絶ってしまった。
同時代に村上春樹、中上健次らがいたことで、常に比較され続けてきた不運こそあれ、都会的な文章とはかけ離れた、疲弊した地方の街、市井の人々の生き様を丁寧に掬い取ったことは、ひとつひとつの作品が雄弁に物語っている。
このドキュメンタリーは再現ドラマも交えているが、それ以外の部分で佐藤の心の闇が垣間見えた気がする。
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再現ドラマ部分は果たして必要だったのか?鑑賞者の想像力にブレーキをかけるような効果しか感じられなかった。
佐藤泰志が自ら命をたったいきさつや、そう言った心情が極まって行った過程の中でそれを身近で見て生活を共にしていたはずの妻子のインタビューが一切無く、ゆえに彼が背負った書くことの重さを測ることが不可能となってしまっている。映画制作者によると遺族への配慮ということであったが、それは映画制作者が佐藤泰志の背負った重さを背負いきれなかったと言う現れなのではないだろうか。
小説家の背負ったものの重さをスクリーンを通して実感したく映画館に足を運んだが、やはりそれは小説を通してのみ可能なことなのだろうか。
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