「※このレビューには脚色が含まれています※」白ゆき姫殺人事件 たくっちさんの映画レビュー(感想・評価)
※このレビューには脚色が含まれています※
人は観たいものを観たいように観て、
さらにそれを自分の語りたいように語る。
その現実を、限りなく痛烈に描く。
原作は未読です。
原作の作者がイヤミス(後味が嫌になるミステリー)の作品を書く方らしいので
過度な期待をせずに観に行ったのですが
いや面白かった!
語りたい内容は既にタイトルにも書いたのですが
本当の真実というのは
自分で体験しないと分からないんですね。
本当に知りたいなら、人から聞いた情報を鵜呑みにせずに
自分の目で見て、自分で判断する。
それを如実に示す演出がとても上手かった。
前半一時間で次々に明かされていく各関係者の証言は
色々な細かい部分で食い違いを見せるのですが(語りたいように語るとはこの事)
後半一時間で井上真央演じるヒロインの独白として、その
「観たいように観て、語りたいように語った虚構」
このすべてを否定し、一から真実を暴き出す。
この演出には痺れました。
題材がTwitter、マスコミ、ネット炎上と
リアリティーに溢れているので
とっつきやすいのもいい。
「ネットは真実を暴く」
いやいや違うだろうと思っていたら
次のツイートで
「ネットは冤罪を作る」
いやそう!まさにそれ!と笑ってしまいました。
また、アンとダイアナの設定を終盤でもう一使いしたり
幼少時の王子様(?)の設定を現代でも使ったりと
とにかく一つ置いたキャラ設定に投げっぱなしがない。
キャラか脚本どちらかが崩壊して駄作と言われる駄作が跋扈するなかで、これはお見事。
この辺りは原作の力ですよね。
(確か原作の方は一つ作品を書くにあたって登場人物の履歴書を作る、と見た記憶があるので。)
さらに、ラストの演出。
まず、二人を初めて鉢合わせさせる。
そして更にここで、幼少の頃のキャラ設定をもう一つ使う事により、綾野剛演じる主人公に救いを与える。
主人公はバッドエンド一択と決めてかかっていたのでこれは予想の斜め上。
火サスの二時間枠でいい、そう思っていた時期が私にもありました。
ぜひ鑑賞を。とくにSNSが生活の一部だという人。必見です。