「岡倉天心の人間像が見えてこないのが致命的。竹中直人は(私のこの役者への好悪は別にして)ミスキャスト。」天心 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
岡倉天心の人間像が見えてこないのが致命的。竹中直人は(私のこの役者への好悪は別にして)ミスキャスト。
①岡倉天心がどのような人物だったのかが最後まで観てもわからない。日本近代美術の大家達がこの人が一生の師と付いていったカリスマ性も感じられない。小難しいことをほざく竹中直人としか見えないのがイタイ。②また、人物像だけでなく、明治の日本美術史において岡倉天心が果たした役割も殆んど描いておらず台詞や文字で説明しているだけ。『北斎』でもそうだったが、既に歴史上評価の固まっている人物を描く時、その既成の事実に乗っかって(既に観客は知っているという前提で)手を抜くのは日本映画における伝記映画の悪しき伝統か。青年期の天心と壮年期の天心とに全く連続性が見られないのも問題。③平山浩行は準主役といっても良い菱田春草役を好演。現代性がちらつくところもあるが、舞台や養成所のようなバックボーンがなく演劇の世界に入って10年足らずとしては堅実な演技を見せる。早逝した春草役としては年齢的にもちょうど良かった。キタキマユとの春草夫婦のエピソードが一番良かった。
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