「スリラーにしても後味が悪すぎ」パージ parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)
スリラーにしても後味が悪すぎ
12時間だけ、犯罪をしてもお咎めなし、但し医療機関や警察も機能しないという話。突っ込みどころ満載で、鑑賞後も胸糞が悪くなること多すぎて支持できない。娘の彼氏、交際を説得しにいくのに何故か銃を持って行って、いきなり発砲。あり得ない。なら駆け落ちでもしろ。そのタイミングと追われてきた黒人を匿うタイミングが同時。あり得ない。父母に相談せずに、息子がその黒人を入れてあげるのもあり得ない。その後、謝りもしない。黒人に対しても、何とか逃がす方法を先に考えるのでは?黒人を差し出すのを途中で間違っているって気づいて、戦うことを選んだけれど。それでどうなった。自分たちが殺される危険性もあるし、何人も殺さなければならない。結局、自分たちも人殺しが好きなの?襲撃する方だって、パージが許されているから襲撃している。普段は、まともかもしれない。であれば、犠牲は少ない方がよい。
スリルとサスペンスを増幅するために、不気味な仮面を被せ、効果音と暗さで恐怖を煽る。最後には、近所の人が、恨みと妬みを晴らしに、最初のパージのグループを殺してしまう。その後、黒人が助けてくれたにしてもだ、その後の近所付き合いどうするの?殺しに入った人同士も、普段通りの人間関係に戻れるのだろうか。
こんなパージが、1回でも行われれば、成功した人は味をしめ、更に犯罪は増える。遺恨がある場合には、この日に復讐をする。罰せられないとなれば、「割れ窓効果」で犯罪は増えるに決まっている。次の年から行われなくなるだろう。だいたいにして、豪邸は侵入者に対して遠隔で人を殺すようなセキュリティシステムを作るだろうし、金持ち連中がゲーム感覚で人を殺し、金がある商店が貧乏人に略奪されるのがおち。道徳が腐敗すること請け合い。
でも、こんな映画が作られること自体、アメリカ社会がこのような社会に近づいているから。よっぽど病んでいるのだろうって思った。