劇場公開日 2015年7月18日

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「制度描写は丁寧だが話の展開は残念な作品。」パージ Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0制度描写は丁寧だが話の展開は残念な作品。

2015年7月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

パージ制度の描写は比較的丁寧。
「年1回全ての罪が赦される12時間」を設けることで秩序を保つ社会。
当該制度が及ぼす社会への影響を随所で描いている点は好感が持てました。
ニュース映像等が醸し出す暗黒卿の雰囲気も良かったのですが。
特に良かったのが制度に賛成する家は玄関口に青い薔薇を掲げる点。
制度導入から数年が経ち『制度に賛成しない家庭が集中的に狙われる』雰囲気が醸成された経緯も伺われました。

家長を演じるイーサン・ホークの覚悟を決めた後の活躍も良かった。
「ガトリング砲」的なゴツい銃を持ち自宅を徘徊する無法者共を躊躇無く虐殺。
“狩られる側”であった彼が“狩る側”に変わる。
その変貌ぶりに思わず拍手喝采、本作内で一番アガる場面でした。

惜しむらくは話の展開。
サンディン一家の“正しい倫理観”を担う一人息子。
役割自体は理解出来なくはないですが……非常に苛々する。
彼の言動は或る種の観点からは正しいのかもしれませんが。
パージが制度化された社会で生き残る、という観点からは不適合。
優先すべき家族の生命を危機に晒した上に自分で風呂敷を畳まない。
彼自身の成長に繋がる話は無く記号的な役割を果たすのみ。
単純に頭の足りない登場人物になっており終始苛々しました。

自宅内のゲリラ戦もイマイチ。
ジェームズ自信満々の防御システムも悪意の前では塵同様。
侵入後の対応策も無く、話の設定から想起される自宅内のゲリラ戦は殆ど楽しめませんでした。
広い自宅内のゲリラ戦であれば映画「サプライズ」の方が数段面白かったです。
…登場人物の設定を大きく変えないといけないですが。

相対する無法者(制度上は法令順守者ですが)も中途半端。
或る人物にあそこまで執着する理由は不明確。
無法者が跋扈する路上で、あの軽装も理解不能。武器もショボい。
全体的に残念な感じが拭えず敵役としての役割も不十分でした。
というか、あれだけ嫌な野郎共は真っ先に処刑候補になるのでは??

制度描写は丁寧だが話の展開は残念な本作。

自宅に籠城する動きが少ない本作よりは続編「パージ:アナーキー」の方が動きがあって面白そう。
近日公開の続編を楽しむためには本作も要チェック。
オススメです。

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Opportunity Cost