「ヨーロッパの片田舎に伝わる信仰の深さを見た」春の劇 月野沙漠さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ヨーロッパの片田舎に伝わる信仰の深さを見た

2016年9月17日
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鑑賞方法:映画館

知的

悲しい

川崎市市民ミュージアムの「永遠のオリヴェイラ マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集」で2016/09/17に鑑賞。

ポルトガルのクラーニャ村で中世から行われるキリストの受難を描いた民衆劇。劇場を使った劇ではなくて、村の町中や野原を広く使って上演されている。ドキュメンタリー的にその模様を淡々と映しているのではなく、ちゃんとカット割されているし、役者のアップもあるので、映画撮影用に特別に上演したものを撮影したものの様。
初めは上演に備える村人達の様子が淡々と映されるが、井戸の水を汲んでる女性の元へキリストが水を求めに来るところから唐突に演劇が始まる。
キリストを始め、一部の演者のセリフは歌うように語られ、それがみんないい声。きっと村の歌自慢の人なんだろう。
ラストはモノクロになって戦争の悲惨な映像が次々映し出される。普遍的に繰り返される人間の愚行を批判しているのだろう。
眠い、退屈と評価してる人もいるようだけど、自分の場合は聖書の知識は無くても、いや、むしろなかったせいか、映像と物語に惹き込まれて退屈しなかった。

月野沙漠