「まさかの設定。」あさひるばん ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
まさかの設定。
内容からして「これはいっか~。」なんて思っていた矢先、
なぜか友人から観ろ~!観ろ~!としつこく脅しを受けて、
ついに観てしまった一本。(スイマセン、言い方が悪くて)
もちろん釣りバカ原作者が描くだけあって、善人だらけの
アットホームな展開は、ありきたりといえばありきたり。
三人の父親?と元マドンナの娘と祖父を絡めた心の交流、
甲子園を目指して破れた学生時代と、現在の親父三人衆の
生き様、趣味、女性関係。様々なエピソードをクドいくらいに
盛り込んで、見所満載に仕上げた72歳監督の人情コメディ。
そもそもこの親父三人衆が、とても同級生には見えない^^;
國村隼だけ大幅に上なんだけど(老けてるっていう設定でね)
更に少し上が松平健、板尾が一番若く、山寺と斉藤慶子は
なんと同い年!この人たちが全員同級生(の設定)なのだ。
それでも國村のハジケ方が愛らしくて、茶目っ気たっぷり。
バカ騒ぎをしたり、歌を歌ったり、渓流釣りに挑戦したりと
大層活発な動きをしてくれるので見ていて飽きない。
脇も粋な面々を揃えているので、こんな都合よくいくかい?
(総てがそういう流れ)と思いながらも、最後には泣かせる…
という、幸福感満載な作品に仕上がっている。
今作の少し前に観た人情コメディとの違いは、その編成力。
どこで笑わせ、どこで泣かせ、どう暖めて最後を締め括るか。
家族の繋がりや親子の愛憎、学生時代に育んだ友情や初恋、
年齢を重ねた人ほど身に沁みる場面が多いと思うが、
急速に進んだ現代がアナログな見地から遠のいてしまった分、
こういうベタなドラマにホッとすることが増えてきた気がする。
考えてみれば刑務所に入るような悪党(ともいえない)でさえも
登場するのに、どこにも悪人がいなかったと思わせる寛容さに
却って新鮮な気分に包まれてしまう。
(義理人情じゃないけど、このご時世ならではの助け合い運動)