「スポンサーは命よりも大事。…鼻くそほじりながら脚本書いたんですかね…?」トランスフォーマー ロストエイジ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
スポンサーは命よりも大事。…鼻くそほじりながら脚本書いたんですかね…?
金属生命体"トランスフォーマー”の戦いを描いたSFロボットアクション映画『トランスフォーマー』シリーズの第4作。
前作から5年。シカゴの悲劇により反トランスフォーマーの気運が高まる中、人間の味方であるはずのオートボットたちはCIAと彼らに従う謎のトランスフォーマーに襲撃され散り散りになってしまう。
一方その頃、廃品回収業者兼発明家のケイドは、とある劇場で廃車となったトラックを入手するのだが…。
監督/製作総指揮はマイケル・ベイ。
本作の主人公である、発明家のケイド・イェーガーを演じるのは『ディパーテッド』『テッド』の、名優マーク・ウォールバーグ。
トランスフォーマーを事業の為に利用するロボット開発企業のCEO、ジョシュア・ジョイスを演じるのは『ターミナル』『プラダを着た悪魔』の、名優スタンリー・トゥッチ。
武士の様な姿をしたオートボット、ドリフトの声を演じるのは『バットマン ビギンズ』『インセプション』の渡辺謙。
製作総指揮に名を連ねるのはスティーブン・スピルバーグ。
143分→150分→154分と、回を増すごとにどんどん長くなってきているこのシリーズだが、4作目にしてついに160分超え!
…長げーよっっ!!!なんでこんなオモチャ映画を3時間近く観なきゃいけないんだよ!!ちょっとは引くことも覚えろベイッ!!
という訳で、あまりにも長すぎる上にとんでもなくとんでもない内容だったため途中から完全に頭がオーバーヒート。まぁこれは毎度のことなんですが、今作は特にヤバかった。
爆発クドすぎ、スローモーションクドすぎ、アクションクドすぎ、演技クドすぎ、プロダクトプレースメントクドすぎ、etc。あまりのカロリーにゲロ吐くかと思った🤮
ここまで疲労感を伴う映画もそうそう無いでしょう。もうこれは映画鑑賞というより精神修行に近い。
急激なカロリー摂取により脳は機能を停止し、最終的には無の境地に至る事が出来る。禅とかヨガに興味がある人には是非観ていただきたい。
脚本が壊滅的な事は指摘するまでもないでしょう。鼻くそほじりながらテキトーに考えただろコレ!?
当然冒頭の恐竜滅亡が物語に大きく関わってくると思うじゃないですか。北極から太古のトランスフォーマーが発掘され、愚かな人間たちがそれを蘇らせてしまった事で、再び世界に混沌が訪れる、的な物語になると思うじゃないですか。
なるほど今回はこの恐竜トランスフォーマーと戦うのね。『失われた世界』的な感じで良いじゃない!と思ってワクワクした俺が馬鹿だった。
全然関係ないんだもん!!ビックリしちゃったよ本当。じゃあ冒頭のこれ何の意味があったんだよ!!
終盤に恐竜トランスフォーマーたちが登場するが、あまりにも唐突過ぎて意味不明。ただオモチャを売りたいがために出しただろぉォン!!そういうの観客はすぐ見抜くぞベイ!そういうとこだぞベイ!!
都合が良すぎるレーサー彼氏、いつの間にか治っているコンボイの怪我、何故か分離飛行できる牢獄、意味がわからなすぎるトゥッチ&ビンビンの香港パート、屈強すぎる発明家ケイド、いつの間にやら味方サイドにいる黒幕ハゲなどなど、とにかくツッコミどころは枚挙にいとまがない。相席食堂の「ちょっと待てぃ‼︎」ボタンが手元にあったら1分に1回は押しちゃう。
あの「未成年とセックスしたら法律違反や!」「いや、ロミオとジュリエット法というのがあってですね…」という問答とか、何の意味があったんだよー…。ただでさえ長げーのに、そんなところで尺とるなよ💦意味がわからなすぎて頭おかしくなるでこんなん。
こんなに支離滅裂な脚本なのに、「騎士」だの「創造主」だの、次回作への布石を打つ事だけは念入りに行なっているのも腹立つっ💢次のこと考える前に、今ここにある作品の完成度を高めることを考えんかいっ!!😡
巨額のチャイナマネーが投資されたのであろう事が手に取る様にわかる、後半の香港パート。ここも酷すぎ。
マシンガンの様に挿入される中国商品のコマーシャルと、全然知らない有名人のカメオ出演にげっそり。
そして中国共産党への媚びの売り方が露骨すぎる。「香港は我々中国政府が守る!」って、おいおいそのセリフマジで言ってんの?それともベイ渾身のブラックジョーク?いずれにしても無神経過ぎるこのセリフには悪い意味で驚いた。
チャイナマネーが映画制作の大きな財源になっているというのは、昨今のハリウッド映画では珍しい事ではないが、本作の媚びの売り方はさすがにやり過ぎ。媚びをパンパンに詰め込んだせいで映画そのものの形が大きく歪んでしまっている。これを映画と呼んで良いのか…?
おいハゲ!お前襲われてるっーのに何を呑気に屋上で牛乳飲んでんだ!!命よりもスポンサーを大切にするんじゃあないよ💢
とまぁ散々罵倒してきましたが、正直自分にはこの映画の本質が全く掴めていない。
というのも、映画冒頭でわざわざ劇場のオヤジに「最近の映画はクソ。リメイクとか続編ばっかり」というセリフを言わせているのだ。それこの映画の事じゃん!!
これは「最近の映画は続編ばっかりで確かにクソですが、これから皆さんが観る映画はそういうものとは違う意欲作ですよー!」という声明であると捉えることも出来るが、本作が劇場のオヤジの言い分ど真ん中な、商業主義に塗れたクソ映画であることは火を見るより明らかである。
これは一体全体どういう事なんだろう?もしかすると本作は、あえて内容をクソにする事により資本主義にどっぷり浸かってしまった映画産業を痛烈に皮肉る、『ファイト・クラブ』(1999)の様な精神性を持った作品なのかも知れない。
もしもこれを試みたのだとすれば、本作は大成功。だってこれ2014年の年間興行収入世界第一位になっちゃうくらい稼いでるんだもん。
暗に商業主義を批判した映画が世界で最も稼いだ映画になるという強烈なカウンター。これを狙ってやったんだとしたら凄いぞベイ!!
散々こき下ろしましたが、あまりにもめちゃくちゃすぎて何箇所か声に出して笑っちゃった🤣
『ポリス・ストーリー2』(1988)を思い出させるヤケ糞大爆破。そりゃ笑うだろこんなん!
ガルバトロン軍の襲撃には怪獣映画的な面白みがある。香港の人々が逃げ惑っている姿をちゃんと見せていることで、まるでその場にいるかのような臨場感が生み出されていたように思う。
また、恐竜に乗ったコンボイのカッコ良さとか、アホらしいと思いながらもやっぱりテンションが上がっちゃう様な男子小学生的ビジュアル・インパクトの強さも魅力である。
新主人公のケイドは完全なる狂人であり一切感情移入は出来ないが、だからこそ次に何をするのかわからないワクワク感がある。
前作でのサムとカーリーのラブコメは本当に酷かったので、主役交代にはちょうど良いタイミングだったのかも。まぁ『トランスフォーマー』シリーズの人間ドラマなんてこの世で最もどうでも良い物事なので、変わろうが変わるまいがどっちでも良いんだけどね。
事程左様に、165分間ずっと退屈という訳ではない。
ただやっぱりこの内容でこのランタイムは長すぎるし、いくらなんでも脚本が杜撰すぎて素面では観ていられない。
プロダクト・プレースメントの下品さが目立つ本作だが、そもそもこんなバカ映画に商品が出てきたからと言って、それが何か売り上げに影響するのだろうか?むしろ下がるんじゃね?
やっぱりこれは資本主義に異を唱える超社会派の作品だったのかも…。