「TV版ぐらいが丁度良かった」ガールズ&パンツァー 劇場版 ほにゃららさんの映画レビュー(感想・評価)
TV版ぐらいが丁度良かった
レビューの点数が異常に高くて、TV版はそこそこ楽しめたから期待して観たが、これはついて行けなかった。
TV版では、孤立無縁な環境に逃げ込んだ主人公が友を得て、自分の弱さを克服する友情と成長のドラマがあったが、今回の劇場版にそれはない。
これまで登場した多くのキャラにそれぞれの見せ場が用意されているが、状況に対して不釣合いにユルい言動や逆に過剰な演出ばかりだし、理由もよく分からない廃校話は作り手の都合のいいように強引に展開するので、大学チームとの対戦が始まる頃にはどうでもいい気分になってしまった。
てっきり中盤でチラっと見られた親との確執が描かれるのか?と思いきや、そこは進展する気配すらなく、異なる流派の対決という面白くなりそうな要素も全く活かされない。
それを言ったら野暮なのかも知れないが、、、
そもそもこの作品の世界は、リアリティーがとても希薄だ。
戦車同士で実弾を撃ち合ってケガひとつしない件や、試合のルールも曖昧な戦車道とか、それを支える社会の仕組みが不明な事など、ゆるすぎる設定はツッコミどころ満載だが、TV版で描かれた程度のドンパチなら、まだ受け入れることが出来た。
しかし今回は劇場版ということで、戦いのスケールは大きくなり、アクションはやり過ぎなくらい派手になった。その結果、多くの見せ場で現実的には無理のある動きが連続する。
その一方で戦車のディテールや細かい挙動はリアルだし、効果音も戦争映画のような迫力があるので、見てる間中、自分の中でリアリティの置き所が定まらず、最後までモヤモヤしてほとんど楽しめなかった。
映像のクオリティはとても高くて、作り手の情熱は充分に伝わってきたが、自分にとってのガルパンはTV版ぐらいが丁度良かった。