「異種として生きることの孤独」ビザンチウム arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
異種として生きることの孤独
シアーシャ・ローナンの赤い髪と吸い込まれそうな青い瞳、そして“血”の赤が、曇天と寒色の景色に映えて、映像は美しい。
彼女の寂しげな表情もキャラクターに良くあっている。
但し、ヴァンパイアものとしては、『ぼくのエリ200歳の少女』という高い基準があるので、このジャンルは見方が厳しくなるのは致し方ない。
ニール・ジョーダンとしても、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』があるわけだが、そこにも及ばず、といった感じか。
母と娘がヴァンパイアになった経緯も、母親のクララが姉のように若いのも分かってはいるのだが、やっぱりジェマ・アータートンは姉にしか見えず母が子を必死に守る風に見えない。ちょっと彼女が頑張りが、全体から浮き上がっている印象もある。
200年前のパートが結構尺を占めているが、この過去パートが上手く現在パートと絡んでいない印象。
人間の命を奪うことでしか癒せない強烈な飢え、異種として人間の世界で生きていくことの孤独。
エレノアの生きづらさは、これよりも嘘をつき続けることにあることに違和感が否めず。
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