劇場公開日 2014年5月24日

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「こういうときは…」ぼくたちの家族 harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5こういうときは…

2014年5月31日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

『そこのみにて光輝く』『WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常』と良作な邦画が続いたので、並の映画だったらガッカリしてしまうところだが、さすがは石井監督、前記の2作品に劣ることのない作品だった。

日頃から妻(母)の存在には(いろんな意味で)頭が下がる思いだが、本作を観てあらためてその大きさを感じずにはいられなかった。

映画『火天の城』の中で、妻役の大竹しのぶさんが仕事が上手くいかない夫の西田敏行さんに当たり散らされても笑顔を絶やさずにいるとそれを見た夫はバカにされたと思いますます逆上するシーンでの台詞「おなごが笑わぬ家は陽が昇らぬ家でございます。男も女も泣かぬ者はおりますまい、その涙を人に見せるか、微笑みで包むかの違いです。」私はこのシーンに感銘を受けたのを思い出した。

どの家庭にも大なり小なり問題があると思うが、その中心となって頑張ってくれているのが妻であり母なのだ。日々の生活の中で家庭内の北風を太陽に変える力を持っている。
そしてその明るさがどれだけ家族を救っていることか。
その明るさの陰に潜む問題を家族だからこそ直視せずに過ごしてしまう。
もしそこに万一のことがあれば、当然その穴はデカく、隠れていた真実が子供達の前にも姿をあらわす。

前作『舟を編む』のレビューで石井監督は人を魅力的に撮るのが上手いと書いたが、本作の前半では登場人物のイヤな部分や感じの悪さを見せられる。
イヤな感じに撮るのも上手いなと感心していたが、前半振った感じの悪さを愛に変えて回収するという素晴らしさ。
イヤな感じだった登場人物も観賞後にはすっかり好きになっていた。

この魅力こそが石井監督らしいと思っている。
今もっとも旬で安定感があり、安心してお金を払える監督の一人ではないでしょうか。

今年の邦画の頑張りは嬉しい限りだ。
良い映画を続けて観れて幸せだ。
それだけで楽しく生きられる。
だから映画ってサイコーなのだ。

harukita