劇場公開日 2014年5月24日

  • 予告編を見る

「88番 黄色を貴方は信じるかな?人生は大切なものを失いかけるとその価値に気が付くらしい」ぼくたちの家族 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.088番 黄色を貴方は信じるかな?人生は大切なものを失いかけるとその価値に気が付くらしい

2014年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

幸せ

昨年の邦画界の賞を独占した「舟を編む」の石井裕也監督の新作となれば、誰もが期待と共に、息を飲むように注視しながら作品を観てしまうだろう。
それだけにかなり良い作品を送り出さないと、評価は厳しいのかも知れない。

正直に言って期待値が高かった為か、何か肩すかしに有った様な今回の作品、悪くはないけれど、極平凡な映画のような気がした。

昨年の「舟を編む」では主人公光也を演じた松田龍平と膾炙の先輩正志を演じたオダギリ・ジョーと言う主人公と彼を取り囲む人物のキャラクターが対極のキャラをブツケル事で、主人公の特徴が際立つと言う描き方、演出の仕方は今回の「わたしたちの家族」も前作と同様の作風で理解し易く、笑いの有る作品に仕上がっていて好感が持てる作品でした。

学生時代に引き篭もりであった長男も今では何とか家庭をどうにか持てるように成長する事が出来たが、母の急病を機会に、それまでチグハグしていた家族が、元の健全だった頃の家族へと戻るまでの過程を描いた、心がほっこりと安心出来る作品になっている。

こう言う作品の始まりは、雨降って地固まると言う家庭のゴタゴタを人情味豊かにユーモラスたっぷりに描いている作品は、いかにも邦画の良い点を濃縮させた様な作品なので、石井監督がこれまでの作品で様々に描く家族の在り方は、松竹の人情喜劇が描いてきた作風を今の時代に合わせた新しい家庭の、ホームムービーになっていると言う気がするけれども、他の方はこの作品を観てどんな感想を持たれるのだろうか?

原田美枝子、長塚京三、そして妻夫木聡と邦画界の良いキャストで固めているけれど、今回この作品で一番良かったのは、次男を演じた池松壮亮だと思う。
この映画がお涙頂戴の暗い安っぽい作品にならずに、テンポがある、コミカルな味を巧く出せるように家族を牽引していく役処を頑張った彼があってこそ生きている気がしてならないな。今後の彼の作品が本当に益々楽しみです。
でも考えてみれば、「ラストサムライ」に出ていたと言う事は、いくら子役だったとはいえども、あのビックスターの、トムさま主演の作品に出たのだから、やっぱり今後は世界に羽ばたく大物スターになるかもね!

お話的には何となく納得出来ない、極端な部分などもあったようにも思うけれども、将来を期待したい石井監督の作品なので、みんなで応援していけたら、また世界の中で邦画作品が評価される時代が来るかもしれないね。映画は作家の才能もあるけれど、観客が応援して、良い作品が出来るように、邦画界を支える事で、日本の芸術や、文化も初めて開花するのだから、一般人のみんなで応援出来たら良いよね~

ryuu topiann