「安定の石井作品」ぼくたちの家族 クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
安定の石井作品
“ごく普通の家庭”なんてどこにも無いんだと痛感した家族でした。
父は社長だけど経営は火の車で、長男に借金の保証人になってもらう始末。
長男は真面目でもうすぐ子供も産まれるが、
嫁のご機嫌ばかり気にする小心者。
次男は大学を留年し、偶に母に金を無心するボンクラ。
そんな母も、浪費癖で山の様なカードローンを抱える。
家はかなり立派で、車も一応高級車、なのだが、
母の病気で全ての綻びが露わになっていく。
家は豪邸に近いが、場所は山梨の住宅街。
母の本音で、「東京を離れるのが嫌だった」からして、
ガマンしてヤッテンダヨ!、やだ見です。
家の高級車も、外装は傷だらけ、ランプは切れてる。
父はしょっちゅう車のカタログを眺めてる。
現実感の無い男の馬鹿さ加減、やだ見です。
長男は家族の一大事に、俺がやらねば!と気合十分だが、
母の治療費を嫁に相談→産まれてくる子供のお金だ!。
話をすり替えられる夫婦あるある、やだ見です。
次男は散々金の無心を母にしといて、
莫大な母のローンが出てきたら父を責めるという責任転嫁、
やだ見のオンパレードです。
母の明るさだけで保っていた家庭はその明るさを失い、
残された男たちは、露わになった事実に戸惑いながらも、
もがきながら母の復帰の算段をつけていく。
それが滑稽でもあり、感動でもあります。
次男が朝のTVで今日の運勢見てからの1日の行動とか、
男3人で肩寄せ合って泣いてるシーンが正にそうでした。
ラストも希望の持てる終わり方。
次男の池松壮亮がいつもより台詞が多くて良かった。
観終わって、石井裕也作品だと分かり、
やっぱりこの人は外さない事が確認できた映画でした。
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