「個性の無い登場人物達による下手糞で迫力の無い喧嘩ゴッコ。」クローズEXPLODE Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)
個性の無い登場人物達による下手糞で迫力の無い喧嘩ゴッコ。
酷かった。
映画「クローズ」シリーズ、初体験。
原作漫画は以前読んだことがある程度の前準備で臨みましたが。
アウトローを題材とした作品としては悉くツボを外した酷い有様でした。
まず個性の無い登場人物達。
本作の登場人物は総じて“顔力”が低い。
凶暴さが顔に滲み出ておらず迫力に欠けます。
加齢と共に刻まれる皺や経験に基づいた貫禄が無いのは致し方ないとは言え全員シュッとし過ぎ。
“顔力”があるのは柳楽優弥のみ。
後は似たり寄ったりの『イケメン俳優』。
見た目の派手さ云々の違いはあるものの強烈な個性は無く観ていて退屈でした。
そして迫力の無い喧嘩シーン。
これが致命的。
メインキャラである鏑木と加賀美の喧嘩がヌルい。
殴る/蹴る共に軽そうで彼等が活躍する、他を凌駕するという説得感が皆無。
加賀美を演じる早乙女太一は爬虫類系のヌメッとした印象を活かして陰湿な策略家を演じれば味があったかもしれませんが。
特段の頭脳プレーは無く秘めた凶暴性も然程の見せ場は無し。
実際の路上DV経験を活かしたガードレールへの突き飛ばしも無く。
観ている側としても「カッコばかりつけちゃってもう付き合ってられない!」状態。
また喧嘩の動きも単調。
画面上の切り取り方、角度の問題もあるとは思いますが動きのパターンが非常に少ない。
にも関わらず上映時間139分の中で繰り返される同じような喧嘩。
単調な動きが繰り返し繰り返し出てくるため中盤以降は既視感が。
特に終盤の鏑木は同じカットをコピペして上映時間を水増ししているのではと邪推したくなる程でした。
何より腹立たしいのは役者の顔が殆ど腫れないこと。
画面上は顔に打撃が相当数当たっているはずなのに常時綺麗な顔。
メインターゲットのニーズと事務所の要望に沿った作りとはいえ、あまりに不自然。
70歳前後のスタローンとデ・ニーロが映画「リベンジ・マッチ」で繰り広げた闘いの1/10も迫力が無い。
彼等クラスが顔パンパンに腫れさせていたにも関わらず、若手俳優が出し惜しみしてどうする。。
話自体は最初から期待していなかったため然程落胆はしませんでしたが。
とは言え無駄な愁嘆場が多く観ていて辟易としたのは確か。
鈴蘭“高校”の面々を始め登場人物達が皆、冒頭から酒と煙草を嗜み続ける本作。
映画「風立ちぬ」ではなく本作こそ日本禁煙学会の皆様がクレームの声をあげるべきかと。
出演する『イケメン俳優』の顔が、少しでも動く姿が観れれば満足される方。
オススメです。