ジ、エクストリーム、スキヤキのレビュー・感想・評価
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喪失と再生を近距離ロードムービーで描く
喪失と再生
多くの映画に共通する、このテーマが本作品にも通底して流れている。
特に喪失からの再生に関してはその過程は見せずに、登場人物それぞれが持ち得る喪失感だけが時間を経た現在に時折顔を覗かせる。
しかしそこにあるはずの悲哀は経過した時間と同様、各々の人生のなかで消化され、醸成されてしまっているのも現実のなかでは致し方ないことだろう。
そういった意味で主人公は、その悲哀を反芻して生きてきてしまったのだろう。
人生の時計の針を進めたはずも、無理やりに進めた時計の針は、狂いの兆しを見せてしまう。そもそもが時計としての機能が備わる過程での喪失であっただけに、そこに足りない部品を得ようとしたところで、現在においても、その機能が得られることはない。
本人は無自覚ではあるものの、前半、合羽橋のシーンでの放浪〜買い物の一連の流れにその心理を読み取ることができるのではないだろうか。
かつての仲間は、半ば無理やり主人公に付き合う形でひととき日常から離れるが、その道程で過ごす時間は、かつてともに過ごした時間とは違い、見る景色の色合いも見方も変わってしまっている。
表層的な変化がないことがその事を余計に浮き彫りにしてしまい、悲しく描きだされる。
登場人物それぞれが喪失を経たのちに歩んできた現在と、主人公に不在する【現在】が冒頭オープニングへと繋がっていく。
近距離ロードムービーに落とし込んで、一見グタグタな会話を見せていながら、決して退屈にはしていない。
良い意味での安っぽさ、チープさを失わずにその演出で見せてくれた前田司郎監督、【横道世之介】の脚本も手掛けたその手腕は今後も期待したいです。
次作は映像表現を活かした心理描写も作品のなかで見てみたいと思いました。
さらっと観れました
学生時代の友人が突然訪ねてきて…。会話が面白く、さらさらっと観れました。
ぬるい日常のゆるい会話はクスクス笑っちゃうんだけど、ノドの奥に刺さった小骨みたいなものが時折チクチクして。いい作品だと思いました。
そんなに温度を上げも下げもしない脚本が上手くできてると思いました。京子さんのデボン期のくだりは良かったです。とっこ、ばかに気になりました。
主演の井浦新と窪塚洋介、自然でとても良かったです。お二人ともすごく普通の青年な感じが新鮮でした。
2014.2.8. 井浦新 特集
シネマモード 1
さらば青春の光
青春時代をひきずって大人になりきれないダメな大人たちのグダグダムービー…
かと思いきや違った。
小物としてのスキヤキの使い方がよい。
ムーンライダースも昔の写真も。
窪塚と井浦のコンビにピンポンを思い出したことで作品内での時間の流れと現実の時間の流れがオーバーラップしてなんとも言えない気持ちになったり。
日常はゆるくても人生は容赦無く厳しい。
それが現実。
そんなことを思った。
ぐだぐだ
こんなぐだぐだで成立するのかと思っていたらけっこう面白かった。そしてきちんと示されないまま、死や不穏なにおいを感じさせ、変な緊張感があった。
窪塚の演技がずっと昔に見た窪塚っぽくなくて、似た別の人か弟の方かなと思うほど自然な演技だった。
後からジワジワ来るな
前田司郎は初監督作。もうこれしかない。今までの映像化作品『生きてるものはいないのか』『横道世之介』よりも前田司郎らしい、というのは当たり前か。映画を観始めた頃はぎこちなさが強く、特に役者の気合いが入りすぎてるんじゃないかと思うところも、カットを割るところとそうでないところと、それらはこれでいいのか、など多々考えてしまうところもあったが、終わってみればやはり独特の何かキュッとするものが残る半青春映画、というか青春延長戦映画だった。
当然と言えば当然かもしればいが、案の定、まったく美しいロケ地などではなく、殺風景な、普通映画では描かれないような殺風景な場所で撮られているのがよかった。
名コンビ健在。
ピンポンコンビ再び。絶妙な会話劇にクスクス笑い、青春時代を思い出してあの頃は良かったなあと誰もが思い切なさを感じる。でも人は生きていく。京子が言う「お先真っ暗っていうでしょ?未来なんて真っ暗だよ。まだないんだから」そう。それだ!
窪塚、新の会話のやりとりや間が良い。もう一回観たい。
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