「テレフォン・ショッキング」ザ・コール 緊急通報指令室 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
テレフォン・ショッキング
911番通報を受けるオペレーターが、誘拐された少女を
電話だけで救い出そうとするというサスペンススリラー。
監督は『セッション9』等のブラッド・アンダーソン。
* * *
主人公が緊急通報を受けるオペレーターという点が最大の特徴。
そもそも電話越しに人の命を救えだなんて、とんでもない
プレッシャーだろうね。
救急車や警察の手配、心臓マッサージの指導、パニクる通報者の
ケアなど、電話1本でいくつもの仕事をそれこそ秒刻みで
こなさなければいけない。ふっと気が抜けた瞬間に人を死なせて
しまうことだってある。
しかも電話先の相手が助かったどうかの結果が分かることも
少ないという、なんとも報われない仕事。
この映画を観たら、119番へ迷惑電話してる人達も
ちょっと考え直すんじゃないだろうか(笑)。
そんな仕事の過酷さを序盤で描きつつ、
やはり話のキモは主人公がベテランオペレーター
としてのスキルをバリバリ発揮する様だ。
パニック状態の被害者を言葉巧みになだめつつ、細かな情報から
位置をじわじわ特定していくそのプロフェッショナルな仕事ぶり!
しかも1人のプロが活躍するのではなく、地元の警官や周囲の
オペレーターと見事なチームプレーで情報収集し、犯人を
追い詰めていくあたりがいかにも玄人集団。
ノンストップで事態が進行するスリリングな展開にも
手に汗握るが、絵に描いたようなヒーローではなく僕らの
街にもいそうなフツーの人々が活躍する様子に、
『この人達すっげー!』とワクワク。
* * *
主演のハル・ベリーとアビゲイル・ブレスリンが熱演。
ハル・ベリーは、トラウマからのプレッシャーに耐えつつ、
救うべき相手のために必死に策を練る姿が人間味があってグッド。
アビゲイルちゃんも『いつの間にこんなでっかくなってたの?』
と驚いたが(笑)、フツーの女の子が恐怖に晒される様子がリアル。
家族へのメッセージを残そうとするシーンには
涙が出そうになった。
犯人役のマイケル・エクランドも口半開きの表情が気色悪い(笑)。
あそこまでやる犯人は流石にいないだろうが、すぐ冷静さを
失って常軌を逸した行動を取る所はサスペンス映画でよく
登場するスマートな犯人よりも身近な感じがして不気味。
あと、主人公に序盤で厳しい言葉を投げ掛けていたボス
(女王蜂さん)が良い味。イヤミな上司ではなくプロ意識の
かたまりみたいな人である事が後半で分かり、カッコよく見えた。
スケール感は減じてしまったものの、主人公にも犯人にも
身近にいそうな人々を中心に据えた所がこの映画の妙味で、
ノンストップの緊迫感に現実味や親近感を加味していると感じる。
* * *
最後のオチは……まあ個人的にはぎりぎりアリかねえ。
若干現実味が減じてしまった気もするけど、
『そーいうことになってもしょうがないよね』という気もする。
90分間ノンストップの緊迫感が味わえる、
かなーりスリリングな良作サスペンス!
ちょっと高過ぎるかも知れないが、4.0判定で。
それにしても、我ながらなんてくだらないレビュータイトル(笑)。
〈2013.11.29鑑賞〉