「21世紀のスペース・オデッセイ」インターステラー nekonohahaさんの映画レビュー(感想・評価)
21世紀のスペース・オデッセイ
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監督が実写での撮影にこだわったと言うすみずみまで神経の行き届いた映像がとにかく美しくすばらしい。
大画面で観る値打ちのある作品。
ごりごりのハードSFな描写で「おおっ」と思わせるも、大事なところで荒技をぶんぶん振り回して笑わせつつストーリーを回収させていて微笑ましい。
手に汗握る169分は長くなかった。
(以下はネタバレを含む感想です)
外見はサイエンス・フィクションを装いつつ、何故か「ラザロ」と名付けられた計画・約束の地を見ずに死んだモーセを思わせるブラント教授・人類の箱船でもある宇宙船・存在を曖昧にしたまま語られる「彼ら」など、キリスト教にはくわしくないもののストーリーは聖書の21世紀的解釈といった様相も感じられる。
主人公の父と娘、教授と娘、など「家族」ではなく「父と子」がテーマのひとつになっているのもキリスト教的かもしれないが、「子」の二人が「娘」なのが現代的で好ましい。
さらに「ユリイカ!」と叫んで人類救済の糸口をつかんだマーフィーからプラトニズムすら感じられると言うと飛躍のしすぎか。
SFファンのみならず、西洋の古典にくわしい方に観ていただいて感想をぜひうかがいたい。
『2001年宇宙の旅』では機械と対決した人類が、いまや機械はともだちで隔世の感あり。
ワームホールやブラックホールの表現は目新しいものの表現手法としては『2001年ー』を超えるインパクトを感じられいので星を半分落としました。
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