「S.T.A.Y…Stay!!!」インターステラー くんぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
S.T.A.Y…Stay!!!
「インセプション」を鑑賞した時、オリジナル作品でこの規模の映画を撮れるなんて、クリストファー・ノーランというネームバリューはすごいことになったなと感じた。「ダークナイト」の影響が大きかったと思うが。
「インセプション」のときに、夢を共有する機会が随分古くさいなあと感じた。そして作品全体のアクションを占める「007」シリーズ感。それら全ては、ノーランの好きな映画オマージュであり、随所に散りばめられたノーランの好み、趣味の部分であった。この部分は「インセプション」の作品には一応作品のバランスを考えたスパイスだったのだが、
今回の「インターステラー」一言で言うと、ノーランの趣味が、スパイスが作品の大部分を占めていたということである。つまりノーランの趣味全開だったということ。今回意識されるのは、「2001年宇宙の旅」の、これでもかというリスペクトである。ノーランのキューブリックへの挑戦とも捉えられるが、挑戦というよりリスペクトである。モノリスを思わせるロボットや、重力を作り出す機会。ここまであからさまに見せているのにもかかわらず、時間の感覚と、驚く映像、無機質に思えて、非常にあたたかみのある人間の心理描写。複雑な説明を飽きせず見せるのは、紛れもないノーラン映画であり、さすがとしか言いようがない。作品から伝わるメッセージも、作品創りそのものも、ノーランという人間は、古き良き時代への愛を持った人なのだなと感じる。それは作品内で強く暗示される「時間」という限られた残酷なものにも繋がる。映画という歴史も同じだ、と。
下を向いてたって運命は変わらず、人間だっていつかは死んでしまう。だったら希望を胸に空を見よう。宇宙はきっと、謎と可能性に満ちている。前に進もう。
60年代SFなんて僕には世代ではなく、未知の領域だったが、この映画が持つ時代への愛が、強く感じた。マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ特にこの役者の演技が最高で、映画の質をグッと上げている。様々な要素を考えても、ノーラン映画の中でも、かなり上位に入るくらい好きな映画になった。
言い忘れていた。農場と宇宙が行き来するシーンが多い映画だが、そこで印象的なのはハンス・ジマーの音楽だった。この映画の謎の部分とドラマの部分、映画としての見た目の部分の1部として、素晴らしい要素であり、音楽だった。「ゼロ・グラビティ」の音楽と比べると面白いかも。