蜩ノ記のレビュー・感想・評価
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悟ったような人々ばかりが非現実的
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:75点|音楽:70点 )
登場人物の多くが何か悟りでも開いたかのように、強い意志を秘めながらも静かな喋り方や立ち振る舞いをする。そして彼らはとても純粋で一生懸命である。それがこの作品の雰囲気を形作っているのだが、同時にそれがどうにも嘘っぽいとも思えた。人間の持つ様々な感情や欲望からくる人間臭さが綺麗に浄化された、まるで作品のために人格を加工でもされたかのような純粋で善良な人達ばかりなのには、観ていてどうにも疑問を持ってしまう。
小泉監督は『雨あがる』もそうだったが、登場人物をそのように描きたがる傾向があるようだ。複雑な事情がある社会と悪があるのはいいが、その中で善がとことん善な存在になっているのは現実的ではない。どうも綺麗事に纏め上げようとしている意思を感じる。そして淡々としていて地味。
そうは言っても登場人物はそれなりに魅力がある。岡田准一は一番いい演技力を示していたし、役所広司も安定の存在感だった。生き様にも映像にも日本の美を感じさせる全体の質感は良かった。質感の高さと綺麗事が混ざり合って同居している印象。
武士道の魂・・
かつて日本には武士道の精神が確かにあった。明治維新で武士がこの世から消え、敗戦で武士道の魂が完全に消失した。切腹を命じられた武士が幽閉され、その時を静かに待ち続けるのは、欧米人には理解し難いと思う。なぜ主人公は10年もの間、死を覚悟して待てるのか!?映画では役所広司が主演、岡田准一が助演。最後に蜩(ひぐらし)がカナカナと鳴く・・直木賞受賞の小説が原作、これから読みたい。2014年の邦画。
●静かに死を待てるか。
静かな、でも胸にズシンとくる良作。
10年後に切腹を命じられた男。彼ら家族を監視する男。
なぜ切腹なのか。どっからどうみても人格者。
家族も父を信じつつ、しかしその日を待つ。
綺麗ごとばかりでない世の中。
それでも守るべきモノのために、男は静かに、しかし熱く、心を決める。
その生き様が素晴らしい。
蛇足。ラストの手ブレは台無しだ。
ラストに感動!
作品自体は"現代的"な昔話ではあったが、人同士の心をゆるして、そして通わせていくという心情の変化をゆっくりと、かつ冷淡と表されていたのが良かった。そして最後の戸田さんとの別れは、自然と涙が出てくるような感じだった。
10/4(土) イオンシネマ浦和美園にて
55点
映画評価:55点
この作品は地味です
地味といっても、しっかり基盤を練り込んだ詫び錆びを慈しむ事の出来るという意味です
まぁ、このテーマで面白く作れるわけもなく
そりゃあ地味になります
面白さはないですけど、この作品はしっかりと「武士道」を表現できているので日本が誇れる素晴らしい作品といえます
ジャンルとしては、
ドキュメンタリー映画にしても良いと思う
切腹を命ぜられた武士の生き様
その武士の姿勢を見守る事で己を見つめ直していく、もう一人の武士の成長
一見、無意味に思える切腹という文化は尊いと気付かせてくれる本当に素晴らしい作品です
【2016.2.7鑑賞】
武士
戸田や檀野を通して武士道とはこういうものだというのをみせられた気がしますが、良くも悪くも武士の時代はこうだったんだなと思いました。
戸田の息子が友の仇のために家老の屋敷に乗り込んで行くところは、子供ながらに勇ましく武士道を感じました。
一矢報いた時は「見事!」と心の中で叫びました。
あとはやっぱり切腹の日ですね。
お茶を飲む時に、そっと妻の手をとり握りしめ…ここは泣いてしまいます。
当時、武士の妻でこういう風に見送らなければいけない人は少なからずいたと思いますがどういう気持ちで送り出すんだろうな…
予告から大筋はわかっていましたが、その中で紡がれる武士としての誇りや命の尊さ、家族への想いに涙した物語でした。
畏怖ですらある。
武士道、武士の精神はもはや信じ難く、理解の範疇を超え、美しもあり畏怖ですらあった。
忘れてしまえばいい、逃げてしまえばいという状況に正面から挑み理不尽に耐え忍ぶ姿には感動を超えて恐ろしく、窮屈にすら思えたけど、「死を我が物としたい」と言う言葉に与えられた今在る状況を精一杯やる事が幸せという事なのかな?と感じました。
他人がどう思うのか、他人と比べて自分はどうか?などと思う方がよっぽど窮屈だと秋谷の所作から感じた。
所作、言動、考え方、とても難しかったけど、表面的な日本の風習や文化、武士道の美しさは理解出来たかなぁと思う。
歴史を勉強しないと…恥ずかしくなりました。
「蜩の記」を観て・・
かつて日本には武士道というものが存在した。明治維新があって、終戦があって完全に消滅した。切腹することを期限を決められて命じられ、幽閉されても潔く受け入れるのは、欧米人には信じられないだろう。この映画の原作となった直木賞の小説もいつか読んでみたい・・
役所さん流石
時代劇系は得意ではないが、見れないほどではない。
これは割と最近作られた映画だし岡田君も出てたので見やすいかな!と軽い気持ちで見た。
武士の一分、武士の家計簿、献立などなど良い映画も多いですよね。
けれど引き込まれたのはヤッパリ役所広司!
立ち振る舞い、存在感が素晴らしい。
もちろん役者さんだけでなく、ストーリーも引き込まれます。
切腹を3年後と宣告された武士の話。
若い世代の人に見て欲しいと思いました。
好きですね
難しいですね、この手の日本映画を見ると自分が、どれほど日本文化を知り、出来てるのか考えさでられます。
ただ、あっちもこっちも岡田准一さん、役所広司さん・・・好きだからこそ・・・もう少し他の役者さんでみたいかなぁ・・・いると思うんだよなぁ
先日、「日本の一番長い日」がリメイクしてましたがポスター見て「山本五十六」にしか見えなかったです
歴史は「鏡」。また、今日生きたということも、明日になれば自分を映す...
歴史は「鏡」。また、今日生きたということも、明日になれば自分を映す鏡になるのだろう。その鏡を見て、今の自分がどのように映るのか。そこに学びがあるのだと知りました。
庄三郎は、秋谷の監視役は快く思ってはいなかった。それは秋谷との生活の中で考えは変わっていく。ラストの方で庄三郎は、「良き修行でした」と口にする。彼の生き様に学ぶものがあったということ。秋谷を鏡とし、自分を見つめ直すことができたということ。
そして、僕たち観客はこの作品を自らを映す鏡として、生きることへの意味を見出せたらと思った。
いい映画なのかな、かなかな♩
…成仏せずにお主の追ってくるのを冥土で待っておる。
この意味分かるな。
と、病で死期を悟った藩主が、不義密通で切腹の断が下った藩士に10年の猶予を与えて家譜編纂の仕上げを命じるシーン。当たり前にこんなセリフを発する時代の精神に驚嘆。ストーリーはエピソードが多くて散漫、メインテーマは何だ、何を描きたいと。頼みの綱の家老さんもヒールじゃなくなって、緊張感が瓦解する始末。冒頭、岡田准一の武士の所作がぎこちなく見えた途端に入我没入できなくなったが、これがラストまで続いた。云ってみれば、良い映画の皮を被った、ちょい残念作か。早い話、期待しすぎた私が悪いのかな、かなかな♩と蜩(ひぐらし)も鳴く。
秋谷の最期の姿
秋谷の生き様にだんだんと心を入れ替えていく壇野庄三郎。あっぱれな程芯の通った生き方をしてきた秋谷を演じた役所広司はやっぱりすごいなと思った。
本当にありそうな話だからこそよりリアルな演技が出来たんじゃないかな。秋谷が最期、死刑場に向かっていくシーンがすごいよかった。
岡田准一が第38回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を取ったからほんと見て正解。
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