「信念を貫いて生きる」蜩ノ記 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
信念を貫いて生きる
本格派時代劇だが、既存作とは些か趣が異なる。
主人公は、ある事件で10年後の切腹とその間の藩史編纂を命じられる。とくると、主人公の死に様がテーマだと思ってしまう。
しかし、本作のテーマは死に様でなく生き様。切腹までの10年間、義を見てせざるは勇無きなりという信念を貫徹して生きる主人公の姿は清々しくて胸が熱くなる。
観終って心地良い余韻が残るのは、切腹に赴く主人公の顔に10年という限りある生を全うした者の充足感があるからだろう。人生も概ね80年の期限付き。悔いなく一生懸命生きねばと思う次第である。
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