ラッシュ プライドと友情のレビュー・感想・評価
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大筋を知っていますし、数年間の二人を生きざまを、それぞれ描カなければならないから、時間が足りない気がしました。
女性はレースとか興味がない人が多いですが、ドラマ部分も良い感じです。「ラッシュ」の主人公の一人「ニキ・ラウダ」。この映画の中でも描かれている彼の復活劇は、一時期、日本の高校英語の教材に使われています。また、現在は、映画の冒頭にも有るように、実業家の家系らしく母国オーストラリアでLCC、ニキ航空の経営を行っています。 www.flyniki.com/en-JP/start.php
ロン・ハワード監督だと「アポロ13」のような感じがある作品と思います。余談ですが、オーストリア航空に吸収されたラウダ航空というのも有りました。1991年にB767がバンコックを離陸後に、事故調も不明な謎の空中分解で200名以上が亡くなった航空会社を経営していたのも「ニキ・ラウダ」本人です。二度も航空会社を興した人は、普通の経営者でも珍しいと思います。たぶん、そのことも、映画が作れそうです。
この映画、アクション映画みたいだけど、実は、人間ドラマなんです。
映画では、二人の一部分の時代を描いてますが、ハントのほうも、人生が映画です。 He fell in love, with Helen, a beautiful blonde half his age. On June 15, 1993, she accepted his marriage proposal. A few hours later James Hunt had a massive heart attack and died at the age of 45. www.formula1.com/teams_and_drivers/hall_of_fame/326/
最高!
ジェームス・ハントとニキ・ラウダ
F1ファンなら名前は知ってる2人だけどどちらも現役時代は見ていない。映画でもイメージ通りの刹那的な天才肌レーサーと理詰めの巧いレーサーの対決は最高でした。
全身に大火傷を負いながら短期間で復帰したラウダもかっこよかったし、復帰したラウダに中傷とも言える質問をした記者をぶっ飛ばしたハントもよかったです。
自分で見ていない1976年のF1を大好きなロン・ハワードがどのように描くのかすごく楽しみでしたが、期待通りの出来だと思います。
最初のF3のレース中に、「あれ、この音楽は?」と思ったら
何と「デイズ・オブ・サンダー」でも使われた「Gimme some lovin’」が流れるとは恐れ入りました。この音楽に気が付いた人がどれぐらいいるのかはわかりませんが、思わず笑っちゃいました。
欲を言えばI-MAXの迫力ある3Dで見たいものです。
いろいろシビレル!
ドラマの面白さ、怪我の治療シーンのリアルさ、運転シーンの本格さ、そしてこれらがリアルな話だということ。
どれもこれもしびれました。
俺は断然ニキ・ラウダ派です。
かっこいいな。
映画というと、その話だけで終わってしまうので、終わらせようとする筋が見えてしまうのですが、これはリアルな話だけに、いろいろなエピソードが続くんです。
人生ってこういうことだよなと考えさせられました。
やっぱり人生観に変化が起きるかもしれない映画かな?
の映画何と言っても、ジェームズ・ハントを演じたクリスヘムズワースが格好良過ぎる映画なのは言うまでもないけれど、それより、主役のジェームズを完全に食ってしまって存在感抜群で、魅力をスクリーン一杯に撒き散らせていたのは、二番手のニキ・ラウダを演じたダニエル・ブリュールだと思う。
配役の順番から観てどうみても、この作品のヒーローはジェームズなのだが、完璧ニキ・ラウダの物語に仕上がっていたのだった。
そしてこの映画のラストは日本で行われた富士のレース場での、F1決勝のシーンがクライマックスとなっているが、そう言えば、確かに当時のF1記事は大きな話題をさらっていた様に思う。
私は、全くF1の事には興味も無いし、ルールやこの競技の仕組みの事など予備知識も無いけれども、2人のライバルの、男のドラマとして物凄く楽しめる娯楽作品として出来ていたと思う。
生い立ち、育った環境も性格も真逆と言って良い程に全く、個性の異なる2人のレーサーがF1と言う死亡確率20%と言うどえらい勝負の世界で、その自己の記録を競い合う姿を本当にドラマチックに描いていく。
映画では2人の出会いから始まり、力の試し合い、或る時には協力し、助け合い、そしてライバルとして力の限りを尽くして、お互いに競い合うシーンへと本当に様々な見所を沢山用意して、この映画は作品を描いている。
流石は、アカデミー賞受賞監督のロン・ハワード監督作と言うだけある実力満々の作風であったと思う。余談だけれども彼の若い頃は笑顔がチャーミングなイケメンだったけれどもすっかり今では只の禿げ親父になってしまった。されど映画監督の腕はピカイチである。
そして、人生には、即断即決のターニングポイントが巡って来るのも事実だし、その様な事態にこそ、自分はどのような行動をとる事が出来るのだろうか?
本作品を観ていると、とても他人事として、ドラマの世界の事だと簡単に割り切る事など出来ない程に非常に、緊迫感の有るリアルな共感を得易い作風に出来上がっていたと思う。
ジェームズを演じていたクリスは、今丁度「マイティー・ソー」2作目も上映中で彼のファンにとり、嬉しい悲鳴が上がると思うし、どちらの彼の役処がより格好良いかと言えばやっぱりこの「ラッシュ」の彼はヤンチャ坊主の、少年の心を持っている素晴らしい役処で、魅力的だったと思う。そして人生で出会うライバルとは、本当は自分の力をレベルアップさせる事が出来るように送られた、神様からの愛の天使なのかもしれない!
貴方の人生で廻りにライバルがもしいるなら、その人こそ最高のパートナーなのかも知れない。今年になってから楽しい素敵な映画に出会えて、雪が降っても最高に嬉しい日々だ。
男のロマン。
昔F1にハマった人なら年代関係なく観れるはず。
F1レースの臨場感溢れる、TVでは到底味わえないような
大迫力の音響が惜しみ無く鳴り響くシーンがふんだんに出てくるので
出来れば音響設備の良い所で観られることをオススメします。
自分は一時期どハマりしていたのでアドレナリンが出っぱなしでした。
ハントとラウダの人間性を思いっきり対極に描いてくれたのもよかったな。(当たり前なのですが)
想いをぶつけ合い、争い、しながら共に高め合う。でもカスカスに傷つけ合うのではなく、お互い深い所では認め合い、尊敬し合う。
男尊女卑的な発言になってしまいますが、これを男のロマン、いや醍醐味と言わずして何と言いましょう。
いやもう、ラウダに挑発的な質問した記者をハントが殴るシーンなんて、燃える、の一言ですよ。フィクションなのかもしれませんが。
とくに、決勝レース直前のアイコンタクトと
ラストシーンの倉庫での短いやりとりは必見です。
ラスト近くではご本人様の映像も出てきたのも良かったですね。
男性の人なら是非観てほしい作品です。
男としての行き様を揺さぶられるでしょう。
悔いのない生き方
これをモータースポーツを通じた熱き男の戦いを描いた物語とだけと思ったとしたら、ちょっと損してる。
タイプの違う才能がテッペンを目指して激しくぶつかり合うのは、妥協を許さず悔いのない自分の人生を生きるという闘いなのである。
ラストお互いをチャンプと呼び合うが、一方は5年後もチャンプであり、一方はキャスターをしている。
だがそれでもいい。
一瞬の輝きだけでチャンプになったのであっても、それが彼の望みだったから。
ちなみに、この作品はメーター類やメカニカルなCG、シフトチェンジの場面などをふんだんに取り込み、F1ファンも意識してるところがニクい。
この時期のマシンで500馬力前後、HONDAが全盛期を築いた85年頃には1500cc TwinTurboで1000馬力にまで達しており、1cc1馬力時代が来ると言われていた。その後turboは規定から外されて大人しくなったが、アクティブサスペンション、セミオートマチックといった技術の投入により車の速さはより高められつつ、メカは熟成され市販車に応用されている。
過去の熱い男の闘いが技術開発を伴って我々の生活に息づいていると考えてみたら、意地の張り合いもなかなかカッコいいんじゃないか?
静と動。F1ライバルストーリー。
いい作品だった。
迫力あるレースシーン。
響き渡るエキゾーストノート。
まるでドライバーになったかの様な
地をはうカメラワーク。
レースを、車を、良く理解している
スタッフで作成されたのであろう。
脚本も良かったです。
主人公の一人、ニキのセリフで言えば
ガキ時代(F3)の頃の確執から始まる
二人のライバルストーリー。
言うならば静のラウダ、動のハント。
性格、考え、私生活にいたるまで
対照的な主人公達。
所々でエピソードを挟みながら、
クライマックスまで突き進む。
キャストも文句なし。
全くの本物に見えました。
特にクリス・ヘムズワースには
やはり長髪が似合います
総合では満足なのだけど
不満もチラホラございます。
一つは、過剰なラウダの火傷の跡。
少し過剰演出かな。
二つ目がクライマックス時の音楽。
上手く、言い辛いのだけれども、
なんかこう感動を増長させるもの
ではなくって、車や歓声を邪魔しない
遠慮気味であるが為に、むしろマイナス
になってるのではないかな。
三つ目は同じく、クライマックスシーン。
本当のレースの時間の様に淡々と進む。
二人のカーバトルがラウダの棄権で
無くなったので、わざとかも知れないが、
ストップモーションを使った息をのむ
ゴールやこま割やカットが一つも無かった。
個人的には、同じスピードで進むより、
一瞬の溜め(静)とスローなカット割り。
そして大音量の音楽と共に訪れる
クライマックス(動)。
これが好きなんだけどなあ。
あわせて何かクライマックスの後の
余韻も何故か短いのである。
だから感動もすぐに覚める。
映画みた後、映画館から帰る際に
感動に浸る時間が短かった。
残念。
でも、最後にラウダとハント本人の
画が差し込まれていて嬉しかった。
静と動のライバルストーリー。
二人に感謝。
史上最高のF1映画
20年来のF1好きで、これまでいくつかF1映画も見てきたが、正直どれもパッとしなかった。
しかし、これはF1好きだけでなく、純粋にヒューマンドラマとして面白く、秀逸な作品と評価できる。2人の天才ドライバーが織り成す人間ドラマ。実話とは思えないドラマの数々。迫力あるレースシーン。素晴らしい作品に仕上がっていた。
ニキ・ラウダはF1に人生のすべてを捧げるストイックな性格で、超がつくほど真面目。学者肌で物事をとことん理詰めで考え、マシンへの理解力が高く、高いセッティング能力とマシン開発能力を併せ持つ。非常に知的で自信家。揺るぎない信念と強固な意志、芯の強さを併せ持つ。しかし、その性格と才能が故に周囲を見下し、軋轢を生み、人望もなく常に孤独。
対するジェームズ・ハントはひと言でいえば天才肌。性格は破天荒で社交的。人を楽しませるのが好きで、周囲の人望もある。女遊びが趣味で、オフはパーティに入り浸り。喫煙者で酒豪というスポーツマンらしからぬ私生活。しかし、いざマシンに乗りこむと、本能と感覚でマシンを操り、ずば抜けた速さを発揮する、まさに天才。しかし、人間としては非常に脆く、心が弱い。レース前の重圧で吐くこともしばしば。彼の私生活が派手なのも、レーサーなんて明日死んでもおかしくない。だったら、いまを思いっきり楽しもうぜ、という心理の裏返しでもある。
ここまでなにもかも対照的な天才2人が、同じ時代に存在し、F1の下のカテゴリーであるF3からライバルとして凌ぎを削ってきた。性格の違いから反目しつつも、お互いをライバルとしてその実力を認め合う。
その描き方、ストーリーへの乗せ方が秀逸で見ていてまったく飽きない。F1ならではのレースシーンも、しっかり迫力が伝わってきた。
F1のエンジン音の迫力は、テレビで観てる分にはまったく伝わってこないものだが、映画では迫力があった。
映像も、過去の実際のレースシーンを交えながらも、古臭さはそれほど感じない。カメラワークがよく、映像も再現性を保ちつつ、映画ならではの迫力ある映像が撮れていた。
特に秀逸だったのがヘビーウェットの最終戦日本GP。ウェットレースのドライバーの視界がどれほど劣悪で、そんな中レースをすることが、どれほど困難か。常人にはとても真似できないものである、ということが分かる映像だった。しかし、これはフィクションではなく、F1ドライバーとは実際このような視界で運転している。F1ファンとしては、それが分かるだけでも、この映画を見る価値があったと思う。もちろんF1にも車載カメラはあるが、映像として成立させるために、水滴がしっかり落とされたもので、ドライバーの視界がどんなものかは分からない。自分も長年F1を見ているが『こんなに見えないものなのか』と驚かされた。
そして、ニュルブルクリンクの事故。ラウダは400度の熱風に1分間晒され、肺の中まで火傷を追う。顔はそれが誰だか分からないほど焼け垂だれ、誰の目にも再起不能に思えた。
治療は見るに耐えないほど過酷で、金属の太く長いパイプを口から肺まで突っ込み、肺に溜まった膿を吸い出す。焼け垂だれた皮膚に貼られたガーゼを剥がし、体の皮膚を顔に移植する。麻酔もない。
しかし、彼は悲鳴を上げながらヘルメットを被り、事故からたった42日でレースに復帰する。結果は見事4位完走。これがフィクションだったら、よくある展開だろう。しかし、これは紛れもない実話。それが余計に感動を呼び起こす。
ニキ・ラウダの不屈の精神に敬服し、2人の天才が織り成すライバル関係に心打たれた。
F1に興味ない方にとってはどうか分からないが、少なくともF1ファンは絶対に観ておくべき映画だと思う。
そして最後に、余計なのは承知で…
現代のF1に足りないのは、この人間味や個性だと思う。
至るところにドライバーエイド(運転を補助するような装置)がつけられ、センサーに管理された現代のF1。それがF1の進化の仕方だと言われればそうだが、やはりこの映画のような人間味も残して欲しい。もう少し機械に頼らないF1であって欲しいと思う。
ハント。ジェームス・ハント。
試写会が当たって鑑賞後、感想を書かないうちに先行上映。
F1好きの友人に誘われてニ回観ることになってしまったけれど、
却って深く観ることができたので良かったかもしれない。
車にもF1にも詳しくない私は、二人のことを全く知らなかった。
ただラウダの事故に関しては、ニュースで何度か観たので分かる。
1分間も炎に包まれてよく生還した!もうそれこそが衝撃である。
大事故に巻き込まれながら命が助かる人というのは、なにかしら
その後の人生に意味があって生かされた人なのだ、と思うのだが、
ラウダはその典型なのかもしれない。
己のプライドと闘争心が、彼を事故から42日間でレースへと戻す。
映画では、徹底的に闘うライバルとしてのみ描かれているが、
F3時代から何かと付き合いが長かったので、親交はあったようだ。
さらには資産家&実業家の両親を持ち、二人が裕福な家系出身で
あったことも言うまでもない。その後の人生が、まるで映画俳優の
ように煌びやかな結婚・離婚を繰り返したことでも一致している^^;
今作ではレース以外の双方の心理面の掘り下げが深い(さすがロン)
当時の奥さん方はかなり苦しんだだろう(女性の立場からすると)
しかし、ハントの嫁が、あのバートン&リズの離婚原因を担っていた
スージーだったとは!ビックリした。意外な繋がりがあったのねー。
驚くべきは二人同様、奥さんの方も顔がソックリ(爆)
コイツにだけは負けたくない!と思うのは普通にあることだけど、
確かにそれがあるから成長できる部分というのがある(特に仕事面で)
タイプも性格も対極にあり悉く反発し合う二人なのだが、狙う目標は
同じところにあるのが面白い。もうそれだけでかなり通じ合っている。
ラウダの事故は痛々しいものだが、あれとてハントが煽った?にせよ、
状況も判断ミスも関係しており、普段のラウダならすでに止めていた。
最終決戦の富士で、ラウダがとった選択こそ従来の彼らしいと思うが、
そういった一瞬の判断を惑わせてしまうほど、相手に勝ちたかったという
負けず嫌いにも程がある原動力が働いていた、というのが興奮材料。
命を張ったレースでのケガは途轍もないが、そこに惹かれて見ている
ファンからすれば、総てを含めて致し方ないといったところなのか。
ハント役のクリスは色男に扮し、5000人を相手にした?と噂される
プレイボーイぶりを如何なく発揮、魅力的な人物像を作りだしている。
本人は45歳で急逝したが、死の数時間前に3回目のプロポーズに成功、
喜びの最中で心筋梗塞で倒れたそうだ。実に彼らしい!何という人生。
そしてラウダ役のダニエルは監督たっての希望もあり、もう文句なし!
ラウダ本人から2週間特訓?された独特のアクセントも素晴らしかった。
(だから絶対に字幕版をお薦めします)
奥さん二人、周囲のキャストにも申し分なし。
過酷な世界で闘う二人の男のドラマというだけでなく、それを支える
メンバーがどれほど大変か(私は絶対レーサーの妻にはなりたくない)、
かのゴクミを尊敬申し上げたくなる、女性陣にも必修となるドラマ。
(ハント。ジェームス・ハント。ってのがいい。アンタはボンドかい?^^;)
トップの場所に立つ者にしか見えない景色が映し出される作品
本作のハイライトシーンとなる日本で初めてのF1世界選手権は、1976年10月24日に富士スピードウェイで開催されました。
24日の決勝は夜半から激しい雨が降り続き、コース各所に水溜りや川ができるほどの豪雨に見舞われ、レース中止も噂される中で強行されたのです。御殿場名物の霧で視界も悪化していました。
そうしたなかでのスタートシーン。スローモーションで切り取られれた映像は、まるでレースカーにシャワーを浴びせるかのような豪雨と霧を切り裂くように、各車が火花を散らしながら発進したのでした。このレースで年間王者の決着がつく、ふたりのトップレーサーの激しいライバル心にふさわしい緊迫感ある発進風景。けれどもハワード監督は、それを敢えて、真逆に静かで圧倒的な映像美に切り取ったのです。思わず全身から鳥肌がたち、映画を見る至福に包まれた表現方法でした。
本作のメインは、F1における1976年の世界王者決定に至る、激しいライバルレーサー同士の命を削るバトルを描いた作品。その栄光とリスクを秤に掛けた命がけの勝負のシーンは、まるで当時のレースの実況を見ているかのような臨場感に包まれていました。
まず目に飛び込んでくるのは、圧倒的なレースシーンの大迫力。30台のカメラを駆使して描かれるレースシーンは、どんなF1中継よりも刺激的。その分、命を落とす危険と隣り合わせているレーサーの恐怖感もまざまざに伝わってきます。
そんな危険もものとしない、今どき珍しいほどアナクロな“男の世界”を描く作品です。前途したように、そのストレートな美しさは、実話ベースの物語を神話の領域にまで高めてくれたと行っても過言ではないでしょう。
劇中でも、何度もF1レーサーの死亡率の高さが伝えられます。25人のレーサーのうち毎年2名も死んでいるというから、ストーリーテーラーを努める主人公ニキ・ラウダが自嘲気味に、こんな危険な職業を選択するのは、よほどの馬鹿か変人だというのも頷けます。でも危険だからこそ、手に入れがたいものだからこそ、あとさき顧みずプライドをかけて、ラウダを執拗に追いかけ、トップを取りに行ったジェームス・ハントの意固地な気持ちも良く伝わってくるのです。何と言っても、彼は毎年あと一歩のところで、年間王者に大手をかけながらも、ラウダに持っていかれてしまっていたのでした。何事にも派手好きで目立ちたちがりやなハントだけに、どうしてもラウダの立っている場所に己が立たずにいられないという感情がひしひし伝わってきます。
そんなハントの思いを込めて、レースシーンでは極限まで加速する車のエンジン音が爆発し、早いカット割りでレース中のレーサーの心象を表現していきます。そこに映し出されたものは、単にレース映像を切り貼りしたという代物ではなく、トップの場所に立つ者にしか見えない景色と敗れた者が噛みしめる憧憬とが交差する、まさに“プライド”そのものが、存在感をもって表現されていたのでした。
それにしても、ラウダとハントのふたりの天才ドライバーは、水と油というより、コインの両面のような表裏一体の存在と言えるでしょう。性格的にもその走りはコンピューターと云われた、緻密で頭脳派のラウダに比べて、ハントは自由奔放。私生活でも、独りの女性を愛し、家庭を大切にしたラウダに比べて、プレイボーイだったハント。そんなふたりが、レース後に鉢合わせでもしたら大変。ハントはラウダをネズミと蔑み、ラウダはハントのプレイボーイぶりを「人気者」といって揶揄して応戦。見ているとちょっと容姿でラウダにはコンプレックスがあったのだと思います。そんなコンプレックスが、彼をF1チャンピオンに押し上げていく原動力になったのではないでしょうか。
逆に、ハントはモテすぎ!アイコンタクトだけで、知り合ったばかりの看護師やアテンダントと速攻のメイクラブになってしまうので、余計なところに精力使い過ぎていたのですね(^^ゞ
レースコンデションに対してもふたりの考え方は、対極的。通常のコンデションでも事故率が2割あることから、ラウダは2割を越す天候リスクは負わないと、76年ドイツGPの開催強行に反対。しかしラウダを追い越すためなら死も厭わないとするハントは、目の前のレースしか頭に浮かばない一発屋でした。
トップを張るラウダも以前は、命知らずの走りで、いまの地位を掴んだのでしたが、愛する人と結婚したとき、「幸福」が「自分の敵」になってしまったのでした。その気持ちよくわかるな。
さんな真逆な性格のライバル同士は、敵愾心ばかりで憎むあっていたのかというと、違っていたのですね。例えば、ハントがドイツGPの開催強行を主張した結果、ラウダが重大事故に巻き込まれて、入院。退院後の記者会見で、醜くなったラウダの顔のことをあげつらって質問した記者を、ハントはボコボコに殴ってしまうのです。
また、ラウダもラストシーン近くで、ハントに、おまえの存在をバネにして怪我を乗り越えることができた。おまえの存在は、憎くも感じたこともあったが、今では神さまが使わしてくれた存在だと信じていると告白するのです。続けてナレーションでラウダは、ハントを唯一の友人だったと言い切ります。
きっとハワード監督は、ホントはラストで互いの友情を確認し合うシーンを描きたくて、しのぎを切るレースシーンを延々と撮り続けたのではないでしょうか。互いにプライドの高さゆえの対立が、お互いの力量を認め合ったとき生まれる友情への変異。そんな男の熱さを感じさせるための2時間だったような気がします。
持つべきは、よきライバルなんですね。おっと、隣で寝ている試写会同行者の女子!そんな男の熱さを分かってくれるのかしらん(^^ゞ
ちなみに最後のレースシーンは、1976年シーズンの最終戦であり、ドライバーズチャンピオン決定戦でした。ラウダは、3ヶ月前に開催された第10戦ドイツGPで瀕死の重症を負いながら復帰し、2年連続王者を目指してポイントランキング首位(68点)に立っていた。対するハントはドイツGP以降4勝を挙げ3点差(65点)まで詰め寄ったのです。
史実では、ラウダは危険すぎるとわずか3週でリタイア。レースカーから降りるとき、ラウダは奥さんにアイコンタクトするのですが、どんな台詞よりもそのアイコンタクトが、「幸福が自分の敵」だと思ってしまったラウダ夫妻の気持ちを表していたと感じられました。
ラウダがリタイアとした後のハントの走りは、まさに神かがりもの。勝利への執念が伝わってくる渾身の映像にぜひ注目ください。完全燃焼したハントは、このレースの2年後に引退してタレントへ転身してしまうのも納得の激しさでした。
それにしてもダニエル・ブリュールの本人そっくりなネズミチックな風貌。そして、筋肉むきむきで女性ファンを虜にしてしまいそうなクリス・ヘムズワースのなりきりぶりは、両者ともあっぱれ。ラウダとハントの当時の写真をみれば、両者の役作りの高い完成度にビックリすることでしょう。
サントラも『天使と悪魔』を彷彿されてグッドでした。
早く観に行ってよかった
自分はF1好きで、今も中継をずっと観ています。とは言っても、87年のフジ中継開始以降に好きになったので、ある意味伝説の様に伝え聞く逸話の部分が題材。
鑑賞前にあまり情報を知らないままだったので、再現ドラマなのか?ドキュメントなのか?も知らずに観た。
以前作られた「アイルトン・セナ」の映画は当時の映像を元に作られたドキュメント。内容もセナ目線で政治的駆け引きの面を強く押し出した感じだったので、自分の中でもそれに近い感じなのか?という予想だったが。
しかしこの作品はラウダ対ハントの人間的な争いも細かく描かれ、とても引き込まれた。
そしてレースシーンも圧巻。映像のひとつひとつが、これ当時の中継映像なのか?新たに撮ったのか?と解らないくらいリアル。
詳しくF1を観ている人なら小さな違いを見つけられるのかもしれないが、是非DVDで細かく観てみたい。
作品はドキュメントに近い再現ドラマになっていたんじゃないだろうか。再現ドラマって表現だと貧祖に感じるが、イイ意味で。
あと気になった点をふたつ。
・吹替版で何度も使われた「阿呆」という言葉が何か、耳障り悪かった。関西人だからかな。
・PG12だと知って、事故とかそんなシーンで?って思ったら・・・そういう事か。(笑)
とにかく、いい作品だった!
F1 映画
そのなのとおり⁈
男性のプライドと友情をかけたF1物語です。
実話を基にした、フィクションでよく描けている。
軽い気持ちで見たが、なかなか良かった。
最後のレースも、日本の富士スピードウェイとゆうところもまた良い。
どんなアクション映画より深くて爽快!
本日先行上映を見てきました!
私はF1に対する予備知識は特になく、ニキ・ラウダの名前をちょっと聞いたことあるかなー、ぐらいでした。
あと、マイティー・ソー役の人が出てるなー(好きです・笑)、でもこの映画だとちょっとモサっとしてるなーてくらい。
正直テレビの宣伝CMを見ても、ちょっと地味そうというか、いかにもドキュメンタリーっぽいやつなのかなって思ってました。
が、実際見てみたら、すっごく興奮したし、おもしろかったです!
やっぱり登場人物が実在していて、起こった出来事も現実に即しているというリアリティーがいいんでしょうね!
ニキが安全運転からレーサーモードになった場面は、それまで仮面をかぶっていたスーパーヒーローが正体を見せた、みたいなゾクゾクするカタルシスがありました。
ここから「おお、この映画おもしろいぞ!」って見る姿勢を正しました。
ソー役のときよりモサいような気がしてたジェームスハントも、やっぱり何をやってもサマになるというか、セクシーで眼福でした(笑)
まあ、私が人として一緒にいたいと思うのは絶対ニキラウダですけどね!!(笑)(><)
二人がお互いを高め合う素晴らしいライバルとして認め合い、F1の高みを目指す…
かっこいいです。素晴らしいです。
音楽も重低音でズンズンと盛り上げてくれる素晴らしいものでした。
なんでこんなにおもしろいと思ったんだろう、と自分でもまだ分析できてないですが、一生懸命何かをがんばる姿に心打たれるのかなあと思います。
今日まだ観たばかりで興奮冷めやらぬまとまりのないレビューですが(^^;)
これから色々ググってニキラウダやジェームスハントの本物をもうちょっと知りたいなあと思いました。
見に行ってよかったです!
ライバルって生涯を共にする
いや、すごいお話でした。
これが実話だって言うんだから本当に事実って小説よりも奇ですね。
ジェームズハントとニキラウダ…
全く性格や生き方が正反対の二人
かたや、いわゆる破天荒なよくある輝くけれども難がたくさんあるいわゆるスター気質。かたや、他人に依存しない偏屈な性格で、現実を見据えて勤勉に行動する堅実なタイプ。
ただ、この2人本当にプライドが高い。そしてそのプライドがばちばちっていうのが、この話ですね。
でも、共にF3でスタートしながら、スター性でみんなから好かれながらも、独善的なところがチームを失い、嫁を失い、シーズンも振るわないハントと、堅実で勤勉な生き方が友達を作らないが、理解者を増やしながら確実にシーズンのポイントを重ねていくラウダと…本当に何から何まで対象的。
しかしこのラウダという男…本当にすごい。F1を借金をしてまで購入してF1に移籍はするわ、世界王者にも輝くわ…。このストイックさが本当にすごいのは、レース中に大事故に会いながら、ハントのレースに触発されてわずか50日弱でレースに復帰。腿の皮膚を顔に移植しなくてはならないほどの大事故だったのに…。奥さんの心配なんてまったく考えず、勝負の世界にもどるラウダ…本当に男ってやつは…と思わせますね笑
でも、復帰会見で「あなたの顔をみて奥さんの反応は?」的な質問を浴びせた記者を会見後ハントがぼこぼこにしたり、復帰するラウダに謝罪の手紙を書こうと思ったことをハントが告白したり、敵以上、本当に並の友達以上の深い絆があったんだなぁと
わずかなポイント差で勝負は最終レースに…ラウダは奥さんのことを思い、棄権、ハントは様々な苦難を乗り越え、ワールドチャンピョンに…
そのシーズン後、ハントは派手に遊び、ラウダは地道に次のシーズンを見据える。そんな二人がイタリアで再会して言葉を交わすわけですが、この時のラウダが本当に良い。
惜しいのは、現実にハントは2年後に引退をしてしかも45歳でなくなったということ。本当に天才ってなんでこうなんでしょうね…っていうのを地で行く感じが本当にすごいな…と
レースの臨場感、ライバル2人の友情と男って生き物の本気の感じが清々しくてとてもよかったです。
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