「思い出深い1976年の富士」ラッシュ プライドと友情 CRAFT BOXさんの映画レビュー(感想・評価)
思い出深い1976年の富士
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筆者の世代にとって、1976年に日本で初めて開かれたF1は思い出深い。夢中で見たアニメ『ルパン三世』の初回はF1レースが舞台だったし、ちょうど世はスーパーカーブームだった。
そんな76年のF1選手権で覇権を争ったのが、本作で主人公となるニキ・ラウダと、ジェームズ・ハント。とくにニキ・ラウラといえば、80年代に日本でも大人気だったプロスト&セナの前の世代の伝説的ドライバー。この年は、頭脳派のニキ・ラウダが大事故に遭いながら早期復活し、最終的に暴れん坊のジェームズ・ハントが大逆転で選手権を勝ち取り年間王者となったが、最終戦である日本GPで年間王者が決まったのだから、印象も大きかった(もっとも、当時はまだF1GP選手権の仕組みもよく分かっていなかったが……)。
そんな2人の1年間の争いを描いたのが、本作である。
ライフスタイルも、選手としてのレース運びも、プロとしてのアプローチも、生まれ育ちの環境も、何も顔が正反対の二人。しかし、互いに信頼関係はあったと言われている。映画では反発し合う2人だが、実際には、レースを離れれば馬があい、もっと親しい面もあったらしい。まさに、ライバルという言葉にピッタリだ。
80年代以降に低迷する前のまさに「赤い跳ね馬」のフェラーリ、マルボロデザインに覆われたマクラーレン(そのほか、ロータスなどの名車も!)や、当時の富士スピードウェイが再現されるだけでも、監督のロン・ハワードに感謝したくなる。
F1好きには嬉しくなる作品だ。
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