「尊敬できない天才…この角度からみたくなかった…」スティーブ・ジョブズ(2013) もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
尊敬できない天才…この角度からみたくなかった…
正直期待していたものとかなりのギャップがあってなんと感想を述べていいものやらという感じです。
ジョブズの本などを全く読んだことがないため、固定的な感情が全くないのですが、i macから始まるその後のi padやi phoneにつながる一連のプロダクトはまちがえなく新しい市場を作り出してきたクリエイティブだし、そのデザイン、宣伝は一連の哲学に基づいたとても良いものだという認識はあります。
冒頭のi padの製品発表は何と無くAppleの輝かしい姿が見られましたが、そこからジョブズの学生時代に。
Apple創業期は仲間とガレージで制作をする姿にと何百件と電話をかけて出資者を募っていた時代がきっと今のAppleにつながるものづくりのこだわりを作り出した時代だったのでしょう。
でもその後のリサ開発やMacintosh開発においては、そのこだわりで人を振りわし、予算を使い、そのことで失敗をすることを人のせいにする。
製品の性能の向上だけを目的に、高い理想を振りかざし、次々と創業時に仲間を失って行く。Macintosh開発後の解任までこの話を延々に繰り返している感じで、心に残る部分がとても少なく感じられました。
いや、ジョブズの哲学の強さや、目的遂行の為に仲間を切ることも辞さない姿勢はカールラガーフェルド達に通じるものがあるし、そのこと自体はやはり感銘は受けるものの、本当だったのかどうなのか、いささかわがままで独善的な面が強すぎるというか…車を障害者レーンに留めるシーンとかまさにそのことを誇張していて、すごく人としてどうかと思いました。
今のAppleの最初の成功作でもあるiMacのデザイン開発に少し触れるものの、その後に「2012年 Appleは世界で最も価値のある企業になった」みたいなテロップで幕を閉じる…そこからそこまでのダイナミックな成長と哲学の強さをを見たかったのですけどね…ここまで苦労をしてきたのだから…
きっと映画自体は、ジョブズとその創業メンバーの熱の高さと、ジョブズが独善的だったことをドラマにしたかったのでしょうが、今、世界に市場をつくったAppleの本質的なところ、ジョブズの本質的なところってこんなことなのかな?と若干拍子抜けてでした。
Macintosh発表のジョブズの演説はカッコよかったですけどね。物を作り生み出す仕事をしているなら、こうありたいとは思いました。