劇場公開日 2014年2月7日

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「壁に見えてるが、扉なんだよ」スノーピアサー CBさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5壁に見えてるが、扉なんだよ

2020年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

思わぬことから、世界はあっという間に氷河期に入り、かっては「狂っている」と言われた男が開発した、1年かけて世界を一周し続ける列車の中だけに人類と生物が生きている、という極限状態を描いた作品。列車は先頭車両が上流、後部車両に行くほど下層階級が暮らしており、最後尾の車両から革命を起こそうとする人間たちのストーリー。

よく考えつくな、こんな設定。そして、前半で、最後尾車両の極限状態を駆け足で描き切る監督の腕は流石だと感じた。

そして、”斧は怖い” ! いやあ、密集空間での闘いでの斧は怖い怖い。これほど ”血” をイメージさせる武器はないよね。

ノアの箱舟があったとしたら、世界の終わりから次の創成記まで世界を漂う間は、こんな恐ろしい世界なのだろうか。こんな発想はキリスト教国ではなく、東洋でしか生まれないものだろうか。

後半の列車内の小学校で、列車を作ったウィルフォード氏を讃える授業のシーンがある。「列車のエンジンを作ってくれたウィルフォード氏。しかし世界はかって、あろうことか彼を狂人扱いしたことがあったのです。なんという無知。さあ、私たちは、正しく讃えましょう」 前世紀には 「狂っている」 と言われたものが、あっという間に 「神」 に鎮座する。うっかりすると、観ているこちら側でも一瞬そう思えてしまう。狂信的と言うのは簡単だが、価値観なんて、わりとあっさり変わってしまうものなのだよ、と心しておくべきかもしれないと感じた。

支配階級の女性が繰り返す台詞 「So, it is.」 意味はよくわからないが、印象的。

「壁に見えてるが、扉なんだよ」
18年間走り続けるというのは、そう思いたくなるほどの長さなのか、それとも実際にそうなのか。

結末は、見て確認してほしいが、自分はこんな設定の映画を作ってみたことが、本作の価値なのかなと感じています。SF的な映画は好きなので。

CB