「拭っても拭えぬ消化不良感」グランド・イリュージョン 13番目の猿さんの映画レビュー(感想・評価)
拭っても拭えぬ消化不良感
どういう目で見たらいいのかひたすらに困惑する映画です。
ラスベガスにいながらパリの銀行の金庫からマジックショーの最中に現金を盗んだ手品師軍団というくだりから、映画全体の構造として手品師集団とFBIとの騙し合いの知能戦を描くのかと思いきや、大事なところはCGや無敵すぎる催眠術で片づけてしまうし、その手品の仕込みやる前提(現金護送車に忍び込む等)が問題なのにそこんところが抜けていてひたすらに拍子抜けしてしまいます。特攻野郎Aチーム的な、ひたすらおバカなアクション映画ならそれでも良かったのですが、明らかにそういう方向性の作品ではないのでどうしてもその粗は看過できません。
また登場人物たちの立ち位置、特にモーガン・フリーマンの存在が意味不明で、手品師集団に敵対しているのかしていないのか微妙だし捜査に大して役に立っていない上、挙げ句には濡れ衣で捕まってしまうなど、一応何が言いたいかはわかるにはわかるのですが、登場人物たちの因果応報にも飛躍があってやはりここでも拍子抜けしてしまいます。
映画の全体的な構造でも細部でもひたすらに観る者を困惑させ、そして最後には五人目のホースメン、古代エジプトの時代から続く義賊集団アイズと彼らの歴史的使命といった、様々な謎をほっぽりだしたまま映画は終わってしまうのです。まさに映画そのものが観客を惑わすイリュージョン!てかそんなところに誰も手品要素なんて求めていないんですけどね。
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