二流小説家 シリアリストのレビュー・感想・評価
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見どころは面会室での攻防
ミステリーとサスペンスがもっと色濃い作品かと思ったが、そうでもなかった。
新たな連続殺人の犯人を割り出す推理は、台詞の端々から早い段階で犯人とその動機が分かってしまう。
赤羽が事件の深みにはまって命まで狙われる謎についても、殺人犯と動機が分かれば、残りはアレと見当がつく。
おそらく、原作はもっと深くて簡単には紐解けない内容なのだろう。映像化によって、多くの情報が整理されてしまい、要点が浮き彫りになってしまうことがある。ここは、せめてキャスティングで誤魔化して欲しかった。“私が犯人です”みたいな顔ぶれを避けてくれたらもう少し楽しめた。
この作品での見どころは、二流小説家・赤羽と死刑囚・呉井による心の深層を突き合うタイマン勝負に尽きる。
刑務所の面会室に無言の刑務官を配しただけのセットで腹の中を探り合い、主導権を奪い合う様は舞台劇を思わせる。
呉井はなぜ赤羽を選んだのか?
己が全うできなかった命の火を、赤羽の才能に託したのかもしれない。
特別2時間ドラマスペシャルで放送したら、高視聴率獲得出来るかもな~?
物語全体から感じられる作品の香りは、やはり翻訳ものミステリーの匂いが出ていた。
この作品の監督、猪崎宣昭氏は、日活で腕を磨いた斎藤光正に師事していたと言う。そしてその斎藤光正は今村昌平に師事していた。その今村昌平は誰の下で働いていたの?と言えば、邦画界の神様、小津安二郎の助監督を務めていた人である。4代も先になると、残念だけれども、本編であっても、そのテイストは2時間ドラマのテイストになってしまうのだろうか?
それとも、猪崎宣昭監督はTVでの現場がもう長過ぎて、画作りがTV様になってしまったのだろうか?
私は、TVが面白くないので、もう20年程ろくに見ていない。だが、子供時代は、TVを未だ沢山見ていた。その頃の思い出の作品の殆んどが、斎藤光正監督の作品であった。
斎藤監督も本編を監督しているが、晩年はTVが多数を占めていたので、その関係で、やはり猪崎宣昭監督も、初期の頃は本編の助監督もしているが、その後の仕事の殆んどが、TVの監督作品が大多数を占めている。
確かに、猪崎宣昭監督と言えば多数の時代劇から、2時間ドラマを手掛ける、TV界の大御所監督だと言う事は歴然としている。だからこそ、この作品は敢えて、映画館で掛けなくても、TVの特別2時間ドラマスペシャルで良かったのではないかな?
この作品をもしTVで放映していたら、きっと高視聴率が取れたに違いない。凄く残念だ。
話は少し横に飛ぶが、最近評判の「奇跡のリンゴ」でも「私達はどうして、こんなに貧乏しているのに!」と無農薬リンゴ栽培を諦めかけていた父親に、詰め寄る娘が何故か、可愛いオベベを着ているし、キルティングの超可愛らしいトートバックを学校に持って通っていたのが、日本映画界のリアルの無さで、呆れ果てるが、この本作も本篇であるならば、もっとリアルを追求して貰いたかった。
猪崎監督は呉井を演じる武田真治の芝居がよほど信じられないのか、それとも彼の心理状態を描き出すのに、異なる衣装を着せかえる事で、彼のエキセントリックなその時々の心理感覚を出そうと冒険を試みたのだろうか?
木下恵介監督も様々に冒険的、実験的映画を創作しているので、何も実験的映画が悪いとは言わないけれども、本作の呉井を描く場合はもっと別の演出力で、呉井を見せて欲しかった。呉井の本心、この完全なる異常者とも言える、呉井の核心に迫る心理を映画なのだから、焙り出してほしかったのだ。
原作を通読していない私には偉そうな事を言う資格は無いのかも知れないが、原作的にはそんな犯罪者達の、微妙な心理が巧く描かれていたのではあるまいか?
さもなければ、ミステリー大賞などに選出される作品と成り得る訳が無い。ましてや、駄作なら、日本と言う海外で翻訳出版される筈も無い。
2時間ドラマなら、最高の顔ぶれだ。上川隆也を折角出演させているのだから、もっと丁寧に彼の心理状態も対比させて描いたら、最高に面白かったはずなので残念でならないな~
武田真治さん、良かったよ。
海外ミステリーの秀作「二流小説家」が、日本を舞台に映画化!!
しかも、「このミステリーがすごい!海外編」など、3冠取った作品だという。
どんなに面白いのだろう?!と思い、見に行った。
獄中にいるカリスマ死刑囚から、告白本の執筆依頼を受ける売れない作家赤羽。
その執筆依頼を受けたばっかりに、猟奇的な殺人事件に巻き込まれていく。
序盤、どんな展開になるのやら・・・と期待し、それに応えるように、胡散臭い人物が数人登場する。
誰が犯人なんだろう??
この人か、いえ、あの人か。
それも中盤までで、犯人は読めてくる。
その繋がりも、「きっと、こうだろうな~」という予想が的中する。
ミステリーなのに、これではダメだ。
最後まで騙されなかったじゃん。。。
ストーリーを日本に置き換えたことで、疑問があった。
≪あんな小道具をなんで持ってるの?≫という疑問。
それに、呉井は、獄中にいるにも関わらず、何で私服を着ているのか?
そんな不自然さから、興醒めしてしまった。
ストーリーの中心を、赤羽と呉井に置く。
もしくは、犯人探しに特化する。
など、ポイントがあやふやだったのが、いけなかったか。
収穫は、カリスマ殺人鬼呉井を演じた、武田真治さん。
時に大人しく、時に挑発をし、赤羽を苦悩させる。
あのキツめの目が、痩せた体が、オーラをまとったように、とても良かった。
対して、赤羽を演じた上川隆也さん。
赤羽は、積極的なことは一切できない、超受け身人間だ。
そんな彼の弱さ、もうちょっとしっかりしてよ、トホホな感じは、とても良かった。
そんな二人が、刑務所の面会室で対峙するシーンは、とても印象的で良かった。
静と動。
ガラス越しに対峙する二人の間には、見えない火花があった。
それと、今野敏さんが、ご本人役で登場。
何だか、嬉しかった。
設定に不満なので、この点数で。
まるで刑事ドラマのよう
売れない二流小説家と狂気的な殺人者の対比が面白い。上川さんが謎解きをしていく様は(遺留捜査)を彷彿させます。第二の殺人の犯人はくれいの写真を見て判りました。危ない目に遭いながらも小説を書く気持ちが強まる二流小説家。でも片瀬さんは何なんでしょう。思わせぶりでわからない。原作を読んでみたくなりました。
原作は映画より面白いだろうと思わせる
評判の高いミステリー「The Serialist」の日本での映画化です。結末の意外性はあるのですが、前半は冗長で、後半は説明不足という感じです。ミステリー映画としての伏線も不十分な感じがします。原作は映画より面白いだろうと思うので、原作をじっくり読みたいと思います。
原作小説を読みたくなりました。
「このミステリーがすごい!2012年版(海外編)第一位」の映画化。“このミス一位”と言うキーワードだけ耳にしていたので、日本人作家の作品かと思っていたんですが、外国人作家の作品でした。
いやぁ、上川隆也いいですね~。真面目一辺倒の売れない二流小説家の雰囲気がよく出ています。
でも何と言っても、この作品は、武田真治に尽きますね。上川隆也が何かのインタビューの時に「(武田真治は)会った時には既に呉井になっていた。」と語っていましたが、キレ具合最高です。あそこまでおかしければ、現実の世界では、殺人捜査を通じて精神鑑定が行われるのは必定。その位のキレ具合です。キモい。
海外小説を日本を舞台に描き直した作品ですが、日本人作家の作品とは異なる雰囲気満載。それが故に、「終わりかな?」と思ったところから、更に話は続きます。小説では良いと思いますが、映画では描きにくいですね。その描きにくいところを、ギリギリ何とか纏めています。
とは言え、冗長な所が散見。ぶっちゃけ、中村嘉葎雄が出てくる意味は無いのでは?何かの伏線かと思いきや、その後は全く絡みなし。不要です。
いやぁ、原作小説を読みたくなってしまいました。
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