「二流鑑賞家より。」二流小説家 シリアリスト ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
二流鑑賞家より。
「このミステリーがすごい! 2012年版(海外編)」
「週刊文春ミステリーベスト10 2011年(海外部門)」
「ミステリが読みたい! 2012年版(海外篇)」
これら総てが第一位という三冠を達成したD・ゴードンの
処女作らしいのだが、もちろん原作は読んでいない^^;
それにどうしてそんな大作が日本で映画化されるのか?も
大いに謎だったんだけど、そのあたりも特には突っ込まず。
わ~楽しみ♪というばかりで観に行った。
個人的な感想になるけれど、このタイトルはとてもいい。
でも、鑑賞後に著しく思ったことは「二流演出家」だった。
どうしてそんな面白いミステリー小説を
何が悲しくてこんな構成にしてしまったのだろう。
あまりの稚拙さ加減に、確かに私も言葉を失った。。
原作者の一言をどこかで読んだ。
「こんなに雑なストーリーを読んでくださり…」みたいな
出だしであった。あらー^^;そうだったの?
確かに処女作というからには粗削りな部分が多いんだろう。
でも賞がとれるくらいなんだから、つまらないとは思えない。
先日の「リアル~」もそうなんだけど、
こういうのはほぼ、監督の手腕に握られているといってもいい。
面白い話をより面白くするのも、
つまらない話を何とかして面白く持っていくのも。
だけどその役目を果たせずにこうなったものはどうしたらいい。
勿体ない…勿体ない…と、オバケが出そうなくらい呟いた。
一応ミステリーなので、ネタバレは厳禁なんだけど、
つまらない。なんて書いた時点でネタより選択の方に目がいく。
…観るべきかやめるべきか。(いっぱい悩んで下さいませ)
主人公・赤羽(上川)のキャラ設定に謎が多く、
(普通は主人公の生い立ち~現在を分かり易くするもんだけど)
そこへ犯人・呉井(武田)のおかしなキャラ設定が重なり、
さらに弁護士・前田(高橋)の強烈な個性がぶつかってくると、
すでに冒頭で何が言いたいのかワケが分からない状態になる。
そもそも同居?なのかよく分からない女子高生、アンタ誰?
いきなり登場する人物が、いきなり威勢のいい台詞を吐き、
次のシーンでは、突如としていなくなる。これの繰り返し…。
ホントに勿体ないくらいの名優たちが出ているというのに、
ナンなんだ…?ナンなんだよ…?感が増長、混乱してくる。
…おっといけない、
肝心の事件の方はどうなってるんだ?赤羽が追われている?
だったらなんでそんなに自由に走り回っているワケ?
あー。疑問。難問。大混乱。一体構成はどうなってるんだー。
自分の頭が二流なんだろう、と仕方なく思い始めるものの、
おかしい作品でも、面白けりゃ評価が上がるものだってある。
それとも違うんだな、これは。
こき下ろして申し訳ないけど、とにかく今作を観る時には、
唐突に登場し、唐突な意見をいい、唐突な行動に出る人々を
決して画面から排除せずに、温かく見守ってあげて下さい。
それがあとで、あら~(爆)。ってことにはなりますから。
それが溜息であろうと、納得であろうと、今作は終了しますが。
ちなみに武田君のハジケっぷりは確かにイイです。
そんなにビックリするほどの演技ではないにしろ、楽しめます。
(二流とかB級ってそんなに悪い言葉じゃないよ。要は内容だから)