「見どころは面会室での攻防」二流小説家 シリアリスト マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
見どころは面会室での攻防
ミステリーとサスペンスがもっと色濃い作品かと思ったが、そうでもなかった。
新たな連続殺人の犯人を割り出す推理は、台詞の端々から早い段階で犯人とその動機が分かってしまう。
赤羽が事件の深みにはまって命まで狙われる謎についても、殺人犯と動機が分かれば、残りはアレと見当がつく。
おそらく、原作はもっと深くて簡単には紐解けない内容なのだろう。映像化によって、多くの情報が整理されてしまい、要点が浮き彫りになってしまうことがある。ここは、せめてキャスティングで誤魔化して欲しかった。“私が犯人です”みたいな顔ぶれを避けてくれたらもう少し楽しめた。
この作品での見どころは、二流小説家・赤羽と死刑囚・呉井による心の深層を突き合うタイマン勝負に尽きる。
刑務所の面会室に無言の刑務官を配しただけのセットで腹の中を探り合い、主導権を奪い合う様は舞台劇を思わせる。
呉井はなぜ赤羽を選んだのか?
己が全うできなかった命の火を、赤羽の才能に託したのかもしれない。
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