「「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を観れなくても、こっちは観れるね」ジュピター しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を観れなくても、こっちは観れるね
「マトリックス」のいつまでも、くだらない幻影を追いかけ、「クラウドアトラス」に勝手な妄想を抱いた者どもをぶちのめす、「スピードレーサー」のコミカル演出再び、の漫画大好きコンビのお姉さんの「乙女の妄想」全開の超娯楽作。
だって、ウォシャウスキー兄弟でなく、ウォシャウスキー「姉弟」だもん。乙女全開なのは、火を見るよりも明らかである。
はっきりいって、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」となんら変わりがない。
そこを踏まえてみると、もう楽しい、楽しい。
男子からすると、とりあえず久々の下世話なスペースオペラである。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は毒がなさすぎるんだよな。
しかし、それはそれとして、本作の決定的な個性はそこではない。
実は私は選ばれたコ、の設定をベースに、対する宇宙人は、よってたかって主人公を、一人は同性から、綺麗ねえと若さを羨ましがれ、一人は求婚、最後の一人は母性をくすぐらせるマザコン、という。さんざん、ママーって言わせといて、あんたなんて私の子じゃないわ、なんて、まあ、ステキ。エディ・レッドメインのキャラ設定もとにかく楽しい。
また、王子様でなく、ボディガードな番犬は、犬耳の男子で、お姫様抱っこなサーフというか、スケーティングという、キラキラ感と、筋肉バカテイタムの似合わなさ感、そのアンバランス感に笑いをこらえるのが精一杯である。おまけに最後はツ・バ・サ<3
もう乙女の願望、フルコースである。
テイタムは先に「フォックスキャッチャー」を見てしまっているからなおさら笑いが止まらない。このひと、いいわあ。
ミラ・クニスの便器掃除姿もいい。第一この映画、お姫さまだって便器掃除をする、という「家事手伝い推奨映画」としての価値もある。
大冒険のあとは、家族も、地球も、便器も大事だよ、という。
映画を見た後の現実への切り替えも促すことも忘れていない。素晴らしい。
ペ・ドゥナの登場、ショーン・ビーンの定番キャラ、中盤の「未来世紀ブラジル」ぽさ、などの「うっふん、なんでも突っ込んでぇ」なサービス精神はまさしく「オネエ」。
唯一の欠点は、クニスが若干トウが立っている点。とはいえ、政略結婚のシーンの美しさおよび「コレコレ!」な展開は最高である。
追記
今年もはや4か月。今年はどうも小粒感が漂い、「フォックスキャッチャー」以外にグっとくるのがないなあ、と思ってたら、キましたねえ。