「映像美に酔いしれるべし」ジュピター Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
映像美に酔いしれるべし
近年製作される事も少なくなったスペースオペラ。そんな中ウォシャウスキー姉妹によって映像化された本作には感動すら覚えた節もある。だが、それは洗練された映像にだけである。鑑賞中に改めて「スター・ウォーズ」や「スター・トレック」の素晴らしさを感じていた。映像の一つ一つを見ると個人的には「アバター」よりも驚きを感じたのだが、物語の壮大さにも心踊らされる物があった。地球を含む幾田ある銀河系には王朝があり、王朝の大きさによって派閥や競走が生じているという物。地球等の生命が存在する惑星は彼等の持ち物であるという事が前提になっているという壮大過ぎる世界観設定の中で、ちっぽけな人間が立ち向かう。本作を観ると人間の無力さが嫌という程顕著に描かれているのだが、本作の要はラブストーリーなのである。自分の正体も知らずに地球で貧しく暮らしていた主人公と、その悲劇のヒロインを守ろうとするムキムキ男。その身分の違いの中で生まれた愛・・・。ディズニー作品でも度々目にする様な何とも王道なテーマだ。壮大なスペースオペラと、その熱い愛が個人的にはどうも居心地が悪く、これが観たかったんじゃないとさえ思ってしまう位だった。悪役のエディ・レッドメインの掠れた声で冷淡に話すキャラクターや、空飛ぶトカゲ人間等の人様の姿以外のキャラクター等の設定は好きなのだが、詰め込み過ぎたのか上手く存在を生かしきれずに終わってしまった感が強いのでは無いか。突然放り込まれてもついていけない位の壮大なストーリーなのだから、世界観、キャラクター等の部分は煮詰める必要があるだろう。元々三部作の予定だったのが興行面や評価面の影響で頓挫したのも痛いが、本作を1番見せたい年齢層等の見直しで上手くいったのかも知れない