「.」イントゥ・ザ・ストーム 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。BGMが入り、一部よく判らないカットやアングルが紛れたPOV風ディザスター・フィルム。中盤から物語の舞台が二元となるが、緊迫感や臨場感が余り無く、感情移入や作品に入り込む事が出来無かった。展開上の成り行きとは云え、シェルターより安全な雨水管ってどうなのヨとも思った。薄っぺらいステロタイプなキャラクター造形と陳腐なシーケンスが多々あり、全体を見渡すとマイナスのイメージが深く残る。竜巻が登場するシーンはどれも迫力満点だったし、“タイタス”はかなりいかしてただけに勿体無い。50/100点。
・同じ竜巻ものでは旅客機が舞い上がる本作より、牛やトラクターが飛び、物語自体もどこか牧歌的なY.デ・ボンの『ツイスター('96)』の方が佳かった。登場人物達の諄い独白や、廉っぽい心理描写、無理矢理感に溢れたエモーショナルに煽る演出等、どこかしら誰かさんに似てると思ったら、監督のS.クエイルは『タイタニック('97)』や『アバター('09)』で第二班監督を務めたJ.キャメロン組常連の人だった。
・終盤、雨水管に逃げ込んだ際、入口となったマンホールの蓋が飛ばされる。その後、竜巻の目の通過を経て、誰も蓋など出来無い筈なのに再びマンホールの蓋が吹き飛ばされる明らかなグーフ・シーンがある。
・“トレイ”役のN.クレスは、実際に撮影した映像が本篇に使われている。彼は“フレディ・ベンソン”役で出たTVシリーズ『iカーリー('07~'12)』でも同様に演じ乍ら撮影をした。
・バンの中で、S.ウェイン・キャリーズ演じる“アリソン”の背後のモニターに、FE5級の竜巻が'13年5月20日オクラホマ州ムーアを襲った際の実際のニュース映像やレーダー画像が使われている。尚、ラスト近くのナレーション・バックで流れるのは、'11年5月21日ミズーリ州ジョプリンで発生した竜巻による被災地の本物の映像である。
・鑑賞日:2016年3月11日(金)