劇場公開日 2013年4月13日

「新世代に抗うロートル」プッシャー3 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5新世代に抗うロートル

2025年1月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

ニコラス・W・レフン監督によるプッシャーシリーズの第3弾。毎作主人公が代わる。そして作品の内容も変わる。
本作では一作目から通して登場している麻薬王ミロが主人公だ。

ミロは旬を過ぎた男。麻薬王としての力も薄くなりつつあるようだ。
新しいドラッグ、新しい移民、そして次の世代である娘。これらに対応出来ず困惑する物語だ。

ミロはこれら新しい波に順応していくのではなく、昔の仲間と昔のやり方で対処しようとする。過去の栄光にすがりながらも、娘世代の成長を受け入れているフシもある。中々複雑な心境だろう。
力を手にしたロートルは新世代を排除しようとしたりするものだ。場合によっては自分の子であっても。権力欲が強い場合そうなるのだろう。
しかしミロの場合は、自分が退場するつもりも新世代を排除するつもりもない。しかし自分をアップデートするつもりもない。いや、出来ないのかもしれない。

時代の流れに取り残され、一人ポツンと生きているようなミロには切なさを感じる。
シリーズの一作目とニ作目では絶大な力を誇っていたからなおさらだ。

タイトルにもなっている密売人を意味する「プッシャー」。幾人もがここから抜け出してきたが、ミロだけはそのすべもなくただしぼんでいくのかもしれない。

コメントする
つとみ