劇場公開日 2013年8月17日

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「Oh!イーストマンカラー これもCGのなせるワザ」タイピスト! マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5Oh!イーストマンカラー これもCGのなせるワザ

2013年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

一言でいうと恋と仕事に花咲くサクセス・ストーリーだが、1950年代のタイピストをヒロインにしたところが珍しい。タイピングの世界一を競うとなると、その速さは半端ではない。これはもはや格闘技だ。そのダイナミックな指の動きが大きな見せ場となり、ラブ・ロマンス映画でありながら、ロッキーのようなアクション映画を観ている気分になる。フランス大会も世界大会も、チャンピオンが競争心むき出しで分かりやすい。

保険会社の経営者ルイと秘書ローズの関係は、ドジでのろまなカメを鬼教官が鍛えていくような、どこかで見たことがあるドラマのようだ。
ルイにはロマン・デュリス。「ハートブレイカー」(2010)でカップルの“別れさせ屋”を演じたデュリスが、今回もちょっぴりSな上司をウイットに演じている。
ヒロインのデボラ・フランソワは、素朴な美しさと可愛らしさを併せ持つが、話が進むにつれ優雅さと品が身を包んでいく。誰もが「ローマの休日」(1953)のヘプバーンを連想することだろう。

この作品のもう一つの魅力は、50年代を表現したファッションと色彩、そして音楽だ。
ファッションは、今とは違ったラインの美しさがある。映像は往年のイーストマンカラーを彷彿させ、この作品が色彩の悪い映画館で公開されなくてよかったとホッとする。
フランス大会の決勝のあとルイが車で走り去るシーンでは、いかにも50年代の映画音楽といった、意識的に大袈裟な味付けがされていて楽しい。

ところどころに大戦の話を絡めるため、いちいち頭を戦後10年あたりへマジに切り替えなければならないのが疎惜しい。

マスター@だんだん