「おっさんはレビューしてはいけない」モスダイアリー しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
おっさんはレビューしてはいけない
最近、特に常連さんのネタバレフラグなしの、思いっきりネタバレレビューに大笑いしている。
ネタバレせずに書くのが難しい作品、って書いている時点で大いにネタバレじゃないかい?
だいたい、悦に浸りたくて書いてるんだから、しょうもないモットーを他人にアッピールしなくていいから、せっせとネタバレフラグをたてんさいっつうの。
そもそもレビューとは、何を書いてもネタバレなんだよね。それに気づかないのは、読み手の感性に書く側が甘えているに過ぎない。
「モスダイアリー」
まず、最初にひとつお断りを。
「おっさんがレビューするんじゃねえよ」という映画だ。
この映画、おっさんがレビューするのは基本間違いである。
だがしかし、おもしろかったのだからしょうがない。だから、許せ、おっさんがあっつーいまなざしでレビューしてやる。こってりネタバレで。
本作、ゴシック・ヴァンパイア・ミステリー、と称されるが、まあ、正直「ヴァンパイア」である必要はない。
全寮制高校で、キャピキャピしたい主人公レベッカが、百合友のルーシーを、オトコマエのエネッサに寝取られ、嫉妬するも、実はエネッサのねらいは、境遇が似ているレベッカのほうだった。
危うし!レベッカ!エネッサに操を奪われるっ!
エネッサに懐柔されると、レベッカはキャピキャピ生活を約束されるのだが、キスから乳への、のエロ教師のコンビネーションもなんのその、百合友を取られた怒りが勝り、エネッサと対決することを決心する。
だがちょっと待て。
エネッサはレベッカの脅威だけではなく、実は「卒業」を促している存在でもある。エネッサの不思議な力で、クラスメイトを次々といろんな意味の「卒業」に追いやり、レベッカを孤立させる。レベッカもエロ教師による「卒業」のチャンスもあったのだが、レベッカの選択した「卒業」は精神的なものだった。
実は結構、エネッサの存在については、見た目まんま、この世のものではないという描かれ方をしているのだが、それは、異物ではなく、レベッカの分身、という見方もできる。
つまりは、年頃の女の子の揺れる乙女心、身分的、精神的、肉体的卒業を描いた作品、ということで、着地点は、とってもありふれたものだが、その描き方がまあ、おっさんのオレがいうのも何なんだが、揺れていてカワイイのである。
ポスター俊逸。主要3人も素晴らしい個性。
マリーナ・アンド・ザ・ダイアモンズの「Numb」がエンディングで、その歌詞、曲調と映画のラストがピターっとはまって、鑑賞後は、上がる上がる。
追記
おっさんはレビューしてはいけない、というタイトルもネタバレだな