「今度は殺し合い。」キリングゲーム ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
今度は殺し合い。
つい先日筋肉オヤジが助け合う映画を観たばかりだというのに、
今度は元マフィアとダンサーのオヤジが殺し合うんだから驚いた。
一体ハリウッドは御大達に何をやらせるつもりなんだ!?と、
訝しがるばかりの最近の映画界、でも観る方は面白ければいいv
最近作品を選んでないんじゃないか?と思われるデ・ニーロと、
最近悪役ばかり選んでるんじゃないか?と思われるトラヴォルタ。
まったく共通項のなさそうな二人、もちろん初共演!なのだが、
初共演だというのに殺し合いとは!何もあの歳でさせなくてもねぇ~。
こうなったら御大を使って何でもやってやろう!という、
ハリウッドのやけっぱちが垣間見れるが、どんなにおかしな設定も
それなりの俳優が演じるとそれなりに観れてしまうぞ!の良い一例。
痛い!残酷!血まみれ!うわ~っ!っていうのがかなりあるので^^;
心臓の弱い方、残虐なリンチなど観たくない方は止めときましょう。
ボスニア紛争が背景にあることから、彼ら二人の立ち位置は微妙。
恨み辛みを描くことの背景にこれを持ってきたのが正解かどうかは、
結局解明されない紛争の発端(トラウマになる)にも繋がるんだけど、
とにかくお互いが同じような傷を抱えているため、相手にやられて
またやりかえすという、これだから戦争は無くならないんだよ!を
二人っきりの世界で延々と描く単純構成。ま~リンチが続くわ続くわ!
止めを刺さずに延々と続く殺し合いに、このままずっとこの調子かと
思いきや、終盤で意外な展開を迎える(こうなるとは思っていたけど)
今まで悪人主導権を発揮していたトラヴォルタの内面、それに対し
促しをかけるデ・ニーロの説教文句、演技派の面目が昇華する最後の
場面は観応え十分。この10分間で二人の役割がズシーンと迫りくる。
なんかもうちょっと違う作品で共演させてみたい気がするんだけど、
訛りを自分のものにして終始気味悪く演じたトラヴォルタと、
受け身の態勢で彼の演技を包んだデ・ニーロの包容力にさすがと思う。
(前を向いて生きていくには、どこかで終わらせなけりゃダメなのだ)