「危険な高校生。」危険なプロット ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
危険な高校生。
F・オゾンが描くというのでサスペンスなんだろうとは思ったけど、
主演にF・ルキーニを持ってくるということはコメディか?なんて
ことを考えていた。で、結果は両方当たっていた。
作文に秀でた生徒・クロード役に新人のE・ウンハウアー、この子が
また色目使いの名手で、まさか教師ジェルマンとそういう関係に?
なんて想像までする始末(それはなかったけれど^^;)
たぶん自分の心の中では勝手に「ベニスに死す」みたいな、中高年と
美青年の甘美な妄想による関係…なんてのを想像しちゃってたらしい。
お話の方は、つまらない作文添削に嫌気がさしている国語教師が、
突如現れた才能豊かな生徒の描く文章にすっかり魅せられてしまい、
次第に客観性を失っていくという話。隣の家を覗く感覚で同級生の
家族へと入り込んでエロく書き上げる生徒にすっかりのめり込んだ
教師は、話をさらに面白くするために生徒に無理難題を指示するが…
あり得なさそうな話も、普通の家族を覗き見することで現実味が増し、
面白い展開が続くのだが、後半に入ると覗きが悪趣味へと変貌して
単なる妄想から遠のいていく。もはや、小説なしには生きられないと
いうような二人のやりとりに息が詰まり、やがて予期せぬ事態へと…
原作が戯曲ということで、なるほど舞台的な演出が目立つ。
ラスト二人が各々の家庭を見ているマンションの場面が素晴らしく、
つまりこんな風に外側から眺めていても内情は闇の中、
家族のことは家族にしか分からないということが伝わってくる作品。
とはいえ、妄想するには最適な場面となるところがいかにも作家的。
(ホント色っぽいんだもん、あの目つきには参ったわ~オバさんも^^;)