「「つづく」という言葉がもつワクワク感」危険なプロット マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
「つづく」という言葉がもつワクワク感
拙い文章を書く生徒たちに辟易していた高校教師ジェルマン、男子生徒クロードの繊細な描写に目がとまる。
ある家族の日常をただ書き留めただけの文章だが、その鋭い観察眼と、文章の最後に書かれたひと言「つづく」に、観ているこちらも教師ジェルマンと一緒になって興味を惹かれる。
対象となる家庭に入り込み、家の隅々まで嗅ぎまわるクロードは観察する欲望に飢えた異常者のようだ。高校生クロードを演じる、玉木宏似のエルンスト・ウンハウワーの人を吸い寄せるような眼差しが効果的。
書き留めたいという欲求と、指導する立場を逸脱して読みたいという欲望が渦巻き、歯止めが効かなくなりエスカレートしていく様子が、そのまま観ているこちらの好奇心に重なる。まさに危険なプロットに呑み込まれた恰好だ。
高校生クロードの未成熟な魅力と、現実と想像の間で蠢(うごめ)くストーリーに取り憑かれた大人たち。彼らを待っている結束と崩壊の結末まで、よく練られた脚本が面白い。
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