「寛容だったマスコミ。」私が愛した大統領 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
寛容だったマスコミ。
観るまで全く気付かなかった。
え、これB・マーレイ??…まさかコメディじゃあるまいし(爆)
なんて思いながら恐る恐る観ていくと…あら、大統領も悪くない。
さすが大物俳優(一応)、周囲を囲むベテラン勢もまったく文句なし。
文句があるとしたら…知られざるその素行ぶり?かしら。
もちろん当時、そんな大統領の行為も公にされていなかったのだし、
ましてや小児麻痺の後遺症で中年期から車椅子生活だったとは…。
エンディングでも流されているが、当時のマスコミには
「秘密を守る寛容さがあった」のだそうだ。身体のことも不倫のことも。
だから従妹のデイジーのことも、彼女の死後、日記が発見されるまで
周囲には口外されていなかったようだ。
幾ら人気の大統領といっても、不適切な関係は断ち切れないらしい。
そんな恋愛活劇なのかと思いきや、もうひとつの今作の側面は、
英国王ジョージ6世夫妻が訪問した際のエピソードが盛り込まれる。
いわゆる「ホットドック外交」ってやつだ。もはや
開戦を避けられない英国にとって、米国の援助は必要不可欠であり、
いやいやながら大統領私邸に赴いて周囲に歓迎されない国王夫妻を
見守るのは、映画と分かっててもさすがに可哀想だった。
が、吃音で有名なこの英国王が(アカデミー賞作品のね)大統領との
シークレット会談で交わす言葉のやりとりが秀逸で、かなり面白い。
これってあの作品でも描かれていたっけ…?なんて考えてしまった。
大人の女の事情と政治外交。
面白い構成の作品なのだが、内容の面白さは今一歩だった気がする。
L・リニーをはじめ、女優陣が総てに巧いのだが、美しさも今一歩。
(車椅子生活を気付かれないとはすごい。私用車も改造車だったしね~)